柳楽優弥、“鬼の副長”土方役で見せたベテランの風格 スケールアップした『銀魂2』を象徴する柱に

 昨年夏の大ヒット映画『銀魂』の続編である『銀魂2 掟は破るためにこそある』で、俳優としてのスケール感の大きさを示している柳楽優弥。小栗旬、菅田将暉、橋本環奈ら前作のメインキャストを筆頭に、吉沢亮や長澤まさみ、さらに今作では三浦春馬に窪田正孝と、誰も彼もが単独で主演作を持てるほどの華やかな顔ぶれの中、作品の舵を切る重要なポジションを担っている。

 監督は前作に引き続き福田雄一が務めているが、これまでに柳楽は、主演作『アオイホノオ』(2014・テレビ東京系)や『勇者ヨシヒコと導かれし七人』(2016・テレビ東京系)、『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』(2016)で福田組に参加してきた。福田作品の持ち味といえば、やはりあの愉快なノリ。これらの作品で柳楽はコメディセンスを磨いてきた印象だ。

 本作で彼が演じるのは、真選組の副長・土方十四郎。幕末に実在した新選組で、“鬼の副長”と呼ばれた土方歳三をモデルとしたキャラクターだ。この“鬼”の設定は本作でも同じ。規律に厳格な性格で、同士たちからも恐れられている。柳楽のキャリアを眺めてみれば、彼が硬軟自在な演技者であることは明らかなのだが、その事実をこの1作で確認することができる。

『ディストラクション・ベイビーズ』(c)2016『ディストラクション・ベイビーズ』製作委員会

 彼の“硬”に特化した演技で印象深い作品といえば、やはり観る者を慄然とさせた『ディストラクション・ベイビーズ』(2016)だろう。愛媛・松山市を舞台に、柳楽は喧嘩だけが生きるすべての青年を好演。彼の発する数少ないセリフから滲む、生(喧嘩、暴力)への渇望。大きな瞳には狂気を感じながらも、活き活きと輝いていているようにも見えた。演じる身体そのもだけでなく、何があろうと、誰が現れようと、絶対にブレはしない。彼がただそこに立っているだけでそう感じざるを得ない、そんなオーラを放っていた。思えばその前年に公開された『合葬』(2015)でも、若者らしいフレッシュさを残しながら、信念のために散っていく武士の1人を硬質な演技で魅せていたように思う。

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