新井浩文はなぜドラマ・映画に重宝される? 『モンテ・クリスト伯』神楽役の演技を考察
また、新井浩文のキャリアを熱い眼差しで追いかけてきた完熟ライターの麦倉正樹氏は、新井がこれだけ重宝される理由を次のように分析する。
「デビューしたての頃は、映画を中心に犯罪者やチンピラなど、主人公たちを攻撃する立場にいる“強い役”が多かった印象がありますが、近年は“弱い役”が増えた印象があります。山田孝之さんのライバル役として登場する『ジョージア』のCMのサラリーマン姿が象徴的ですが、スーツ姿がグッと似合うようになりました。そんな共感できる小市民感がある一方で、『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS系)や、『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』などの“歪んだ業界人”も巧みに演じています。『犬猿』のような怖い新井さんも健在ですが、年齢を重ねて演技の幅が広がったのでは」
姿勢を正した麦倉氏は、新井の演技について、腹式呼吸で声に力を込めながら次のように語る。
「また、映画俳優のイメージが強かった新井さんですが、2015年の『アイムホーム』(テレビ朝日系)から、隙間なくドラマへの出演を続けています。2016年の『拝啓、民泊様。』(MBS・TBS系)では、黒木メイサさんとW主演を果たし、リストラされたことを機に、嫁に内緒で民泊ビジネスを始める頼りない旦那を好演していました。短い時間でも確実に存在感を残せる俳優なだけに、作り手たちから重宝されているのではないでしょうか。『モンテ・クリスト伯』の神楽は、悪党でもあり、小市民でもある両方を備えた人物なだけに、今の新井さんだからこそできるキャラクターだったと思います」
ディーン・フジオカ、大倉忠義、高橋克典ら男同士の闘いが繰り広げられる『モンテ・クリスト伯』の中で、新井はどんな一石を投じていくのだろうか。
(文=大和田茉椰)
■放送情報
木曜劇場『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:ディーン・フジオカ、大倉忠義、山本美月、高杉真宙、葉山奨之、岸井ゆきの、渋川清彦、桜井ユキ、三浦誠己、新井浩文、田中泯、風吹ジュン、木下ほうか、山口紗弥加、伊武雅刀、稲森いずみ、高橋克典
原作:アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯』
脚本:黒岩勉
プロデュース:太田大、荒井俊雄
演出:西谷弘、野田悠介
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/MONTE