山田裕貴が語る、『闇金ドッグス』の強みと俳優業への情熱 「観たいと思われる俳優になる」
「観てもらえていない悔しさが凄くあった」
――『HiGH&LOW』で演じた村山良樹役で、一気に知名度が上がった印象です。脚本家の方いわく、山田さんがどんどん伸びているのが分かったと。気持ちの強さが出ていたのかなと思います。
山田:『HiGH&LOW』のときで言えば、今やみんなが「キャーキャー」言う、ガンちゃん(岩田剛典)に殴りかかって、しかも負けるんです。僕らのチームの鬼邪高校は、唯一“負けたチーム”なんですよ。チーム内にはLDHさん勢もいないですし、共演した鈴木貴之くんと一ノ瀬ワタルくんと、「俺たち悲しいな」って話してた。それで、「俺は絶対にそれじゃ終わらせねえ」と思って、バンバン思いついたアドリブを入れていったんです。自分の想いと役の感情がシンクロすることってよくあるんですけど、アクションやってるときに「俺とガンちゃんの何が違うんだろう」と思ったんです。村山というキャラクターからしても、一発一発のパンチは重いはずなのに、あんなに殴っても倒せない。だから「何が違ぇんだよ」と思って、そのまま「何が違ぇんだよー!」って叫んだんです。それがカットされずに、本編に残っているという(笑)。そしてセカンドシーズンにも出ることになりました。これも僕の中ではある意味では修羅場だったりしましたね。
――山田さんって制作サイドからしても簡単には切れないような、また一緒に仕事をしたいと思わせる何かを持っているのではないかと思います。だからこんなに『闇金ドッグス』も続いている。
山田:『ガチバン』のときに気に入っていただいて声をかけていただき、『闇金ドッグス』ができたんですよね。運がいいというか、感謝しかないです。
――画面を通して気持ちの強さが凄く伝わってきます。「この俳優が出ているから観たい」と思っている方は多いのではないかと思います。
山田:めっちゃ嬉しいです。実は今年の目標がそれなんですよ。昨年は出演した映画が12作公開されたんですけど、観てもらえていない悔しさが凄くあって。「いや、でもこれは俺が悪い。全部俺のせいだ」って思ってたんです。だから今年は「観たいと思われる俳優になる」と決めていました。
――『HiGH&LOW』の村山や『亜人』の高橋、『デメキン』の厚成など、無邪気で攻撃的なキャラクターが得意な印象です。本作の安藤というキャラクターも暴力的ではありますが、ほかのキャラクターとは若干タイプが違う印象です。意識していることや共通性はありますか。
山田:無邪気という意味では、前者の方が僕に近いと思います。じゃあ後者の少し冷めた感じの安藤は全然違うのかというと、そうじゃない。これも近いんです。意識していることの違いで言えば、“やり過ぎるか”“やり過ぎないか”ですね。村山、高橋、厚成だと、やり過ぎくらいがちょうどいいのかなと思っていて、脚本家の方も「上手くアドリブを入れてくるね」って言ってくれてたんです。そういう遊びって、キャラクターに筋が通っているならありなんじゃないかと思っていますが、安藤に関しては引き算の芝居というか、淡々と演じています。あとはどの作品でもそうですけど、奥底にある想いは「眼で語る」みたいなことを意識しています。そしてどのキャラクターも「悪いことやりてぇ!」と思ってやっているわけじゃないと思うので(笑)。そこはひとりの人間として捉えたいという想いがありますね。ただ僕はアムロよりシャア派で、バットマンよりジョーカー派、ダークなキャラクターが好きです。子供のときって、「酒飲みてぇ」「煙草吸いてぇ」みたいに背伸びしたがる時期があるじゃないですか。僕はいまだにそんな少年の感覚で楽しんでます(笑)。安藤は、安易には人を救わない厳しさを持っているけど、たまに甘いときもある、人間っぽくて面白いなと思ってます。
(取材・文=折田侑駿)
■公開情報
『闇金ドッグス8』
4月14日(土)よりシネマート新宿ほか公開
出演:山田裕貴、仁科貴、タモト清嵐、結城さなえ、佐藤日向、小倉久寛、青木玄徳
監督:元木隆史
脚本:池谷雅夫
企画・配給:AMGエンタテインメント
製作:「闇金ドッグス8&9」製作委員会
2018年/日本/カラー/シネマスコープ
(c)2018「闇金ドッグス8&9」製作委員会
公式サイト:http://yamikin-dogs.com