石原さとみ演じるミコトは新しい理想の女性像だ 『逃げ恥』と共通する『アンナチュラル』の巧みさ

 よくよく観ていくと、『アンナチュラル』は、実際に起こっている事象が自然に物語の中に埋め込まれている。大きな事件、例えばネットで知り合って集団自殺を試みるなかで犯罪に巻き込まれた人たちや、仮想通貨の価格操作、計画的に女性を暴行する集団などが描かれている。それと同時に、世の女性たちが日ごろ思っていることもごく自然に組み合わせられている。

 一昔前まで、女子の憧れは、人畜無害で誰からも愛される人と描かれてきたし、その幸せは恋愛によってもたらされるとされてきた。しかし、現在は、観ているほうにも、果たしてそれは本当なのだろうかという疑問が出てきているのではないだろうか。『アンナチュラル』は、法医学の世界を描いた作品で、毎回、その謎は見事に解かれるが、そんな中で、今の女性の在り方の変化も描いている。しかも、毎回「異性間交流会(合コン)」にいそしむ東海林の姿なども描いていて、恋愛自体を否定するものでもない。そんな風に観ていると、恋愛と結婚が主軸にありながらも、やはり今までのセオリーだけで展開せず、社会に対する問いも描かれていた、野木亜紀子脚本ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)と共通していると感じるのだ。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■放送情報
金曜ドラマ『アンナチュラル』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜放送
出演:石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、池田鉄洋、竜星涼、小笠原海(超特急)、飯尾和樹(ずん)、北村有起哉、大倉孝二、薬師丸ひろ子(特別出演)、松重豊ほか
脚本:野木亜紀子
プロデューサー:新井順子(ドリマックス・テレビジョン)、植田博樹
演出:塚原あゆ子(ドリマックス・テレビジョン)
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/unnatural2018/

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