瀧本美織、『美男ですね』は『越路吹雪物語』へ繋がっていた? 越路吹雪の新たな一面引き出す演技

 帯ドラマ劇場『越路吹雪物語』(テレビ朝日)も第6週に突入した。1945年(昭和20年)第二次世界大戦の終結という、日本にとって大きな転換期であるこの時代。宝塚歌劇団もまた大きな節目を迎えていた。1946年(昭和21年)4月、戦争の影響を受け、閉演となっていた宝塚大劇場が歌劇団のもとに返還となり、ここから宝塚歌劇団の黄金時代がスタートしていく。宝塚のトップスターとして、劇団の先頭に立ったのが、ドラマのヒロイン越路吹雪こと、河野美保子(瀧本美織)である。

 これまでのストーリーを振り返ると、もちろん美保子の活躍がなかったわけではないが、トップスターとなる前の足踏みをしていると言ってもいい状況だった。トップスター・天代麗(音月桂)のもとで団員として励み、なおかつ役に頓着がなかった時期もあった。その美保子の心を変えていくのが、福本亮一(町井祥真)との初恋、そして作家・庄司義男(駿河太郎)との出会いだ。福本との失恋の末、心を入れ替えた美保子は、楽屋で団員に見せる歌と演技が脚本家の目に止まり、庄司が描く物語で主役を務めることとなる。

 戦後、宝塚歌劇団の黄金時代の突入とともに、越路吹雪の人気は鰻登りに。「歌手が1曲歌い終わったあと、客の拍手が鳴り止まなく次の曲に行けずにショーがストップしてしまう、それほどの歌手である」と耳の肥えた米兵が認める記事が新聞に出たほどであった。戦後、ジャズを中心とした新しい音楽が溢れる舞台が誕生。第28話では、「ブギウギ巴里」「モン巴里」「センチメンタル・ジャーニー」など、往年の名曲を越路が歌唱するシーンもあった。二枚目からコミカルな役までを見事にこなす越路を、退団していく加治信子(咲妃みゆ)は「男役と女役とで全く違う世界を作って評価されてる」と言葉を送り、演出家は「型にはまらない強み」「歌舞伎の女形」と越路を評した。

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