『アンナチュラル』が切り取る社会問題 “SNSと自殺”をめぐる事件の悲しい結末

「SNSでも女のふりして死にたがっている若い女の子たちに声かけてたみたいです」。この大沼の手口は、昨年、日本中を驚かせた座間で起きた事件と、酷似する点がある。

ユキ「実は私、シェアハウスを経営してるんだ! 困ってる女の子たちを助けてあげたくて」
花「2人で行ってもいいですか」
ユキ「もちろん」
三毛猫「宿無し脱出」
花「祝・家出!」

 大沼は証拠を隠滅させるため、SNSでのやり取りを削除していた。この投稿のやりとりには全て「#自殺募集 #自殺仲間」というハッシュタグが投稿され、このタグをたどって彼女たちは出会い、大沼はユキを名乗って近づき、2人を殺そうとした。三毛猫を名乗る彼女が、“凍死”と判定された少女。大沼確保により生還した花は「ミケちゃん(三毛猫)はネットでしか話したことなかったけど、友達でした」と、三毛猫が最後に残していた“白夜”を見にいくことを夢に、生きていく決意を固めていた。

 本作の脚本を手がける野木亜紀子は、「第2話を書いたのは去年の7月。その後に類似事件が起こり、とても苦しい気持ちになりました。おごりかもしれないけれど、もしこのドラマがもっと前に放送されていたら防げていたのだろうかと考えもしました。私たちの生きる世界には沢山の落とし穴があり、抗う術はとても少ない。無念でなりません」とTwitterへ投稿している(引用:アンナチュラルな野木亜紀子(@nog_ak)さんTwitter)。

 2018年に入ってからも、1月3日、Twitterに自殺願望を書き込んだ少女を誘拐し、首を絞めたなどとして、男性が逮捕されている。先述した事件への影響も考えられる。しかし、Twitterの日本法人では、自殺に関する言葉をサイト内で検索した場合に、「東京自殺防止センター」が表示されるよう仕様を変えたり、自殺をほのめかすような書き込みを把握したりと、様々な対策も進めている。(参考:東京新聞「死にたい」→自殺防止センター表示 座間事件受けツイッター新仕様)社会で起きている問題に、改めて目を向け、解決策を導いていくことへの働きかけを、本作が担っていける気がした。

(文=大和田茉椰)

■放送情報
金曜ドラマ『アンナチュラル』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜放送
出演:石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、池田鉄洋、竜星涼、小笠原海(超特急)、飯尾和樹(ずん)、北村有起哉、大倉孝二、薬師丸ひろ子(特別出演)、松重豊ほか
脚本:野木亜紀子
プロデューサー:新井順子(ドリマックス・テレビジョン)、植田博樹
演出:塚原あゆ子(ドリマックス・テレビジョン)
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/unnatural2018/

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