『HiGH&LOW』出演俳優は世界へ羽ばたく? アジア圏で活躍する日本人俳優を考察

 朝ドラ『あさが来た』(NHK)でブレイクを果たしたディーン・フジオカ、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)で存在感を見せた大谷亮平など、日本での活躍よりも前に中国や韓国でキャリアを始めた俳優は少なくない。現在、アジアを舞台に活躍する日本人について、ライターの西森路代氏に話を聞いた。

「近年は韓国でも日本出身のアイドルが多くなってきました。今年の紅白歌合戦にも出場する女性グループTWICEには、ミナ、サナ、モモという3人のメンバーがいることは有名ですが、2012年に韓国でデビューした男性グループ、CROSS GENEのリーダーのタクヤも日本出身です。また東方神起の所属するS.M.entertainmentのNCTおよびNCT 127のユウタも大阪出身。タクヤやユウタは、韓国のバラエティで日本人として文化の違いを語ることもあり、歌以外でも知名度を高めました。ほかにも韓国のバラエティやロケ番組で引っ張りだこのKangNamも東京で生まれ育ちました。

 俳優に目を向けると、ヤクルトのCMで大泉洋さんの妻役で出演している藤井美菜さんも、韓国での仕事が多いですね。仮想カップルを追うリアルバラエティ『私たち結婚しました 世界版』に、FTISLANDのイ・ホンギとともに出演したり、キム・ギドク監督の映画でチャン・グンソクとも共演しています。この映画にはオダギリジョーさんが出演するということも韓国メディアでは発表されていますが、オダギリさんは、過去にも『悲夢』でギドク作品に主演しています」

池内博之 『レイルロード・タイガー』(c)2016 BEIJING SPARKLE ROLL MEDIA CORPORATION SHANGHAI FILM GROUP CO., LTD. BEIJING GOING ZOOM MEDIA CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

 オダギリは韓国以外にも海外での作品への出演が多いが、ほかにも意外な俳優がアジア圏で評価されていると語る。

「韓国で言えば、2014年にホン・サンス監督の『自由が丘で』に加瀬亮さんが主演して高い評価を得ました。『アウトレイジ 最終章』などに出演の池内博之さんは、中国語圏の映画にひっぱりだこです。池内さんは、もともとは2008年に『イップ・マン 序章』に出演していまたが、その後、2013年には日中合作映画『スイートハート・チョコレート』でリン・チーリンと共演。最近はジャッキー・チェン主演の『レイルロード・タイガー』にも出演。来年公開の香港映画『智歯(親知らず)』にも出演が決まっていますが、これは『イップ・マン』のウィルソン・イップ監督のプロデュース作品です。『イップマン 序章』で見せたアクションの技術と演技力で、監督の信頼を完全に得たことが大きいのではないでしょうか。香港アクション映画でドニー・イェンと共演した俳優としては『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』に出演のAKIRAさんも忘れてはいけません。

國村隼 『哭声/コクソン』(c)2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

 今年公開の作品では、韓国映画『哭声/コクソン』の國村隼さんの演技が一度見たら焼き付いて離れませんでした。韓国でも評価が高く、この作品で國村さんは第37回青龍映画賞で外国人初の男優助演賞を受賞しました。もっとも、國村さんは以前からアジアでの活躍は多く、ジェフ・ラウ監督の『フル・ブラッド』や、ジョン・ウー監督の『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』など、どちらもチョウ・ユンファ主演の香港映画にも1990年代からすでに出演していました。また、11月に日本公開された韓国映画『密偵』では、鶴見慎吾さんが、ソン・ガンホ、コン・ユ、イ・ビョンホンら韓国映画界を代表する俳優たちと共演しています」

 また、近年高い人気を誇る日本人俳優は、配信作品が大きなポイントになっていると西森氏は語る。

片寄涼太 『兄に愛されすぎて困ってます』(c)2017「兄こま」製作委員会 夜神里奈/小学館

「最近、ドラマでもよく見かける古川雄輝さんは、主演ドラマ『イタズラなKiss〜Love in TOKYO』 が中国でも公式に配信され大人気となりました。『イタズラなKiss』は中国圏でも幾度となくドラマ化されてきた作品で、ヒットする下地はあったようですが、主演の古川さんの完璧な“入江直樹”像が視聴者を虜にしたそうです。空港に1000人ものファンが詰めかけたというのは有名な話です。最近は、GENERATIONS from EXILE TRIBEメンバーの片寄涼太さんも主演作『兄に愛されすぎて困ってます』が配信されるやいなや大人気となりました。これまで限られた方法でしか日本の作品を見ることができなかった中国では、公式に配信される、かつ良質なラブコメに高い注目が集まっているようです。配信作が増えていくに従い、人気を集める日本人俳優も増えていきそうですね」

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