石原さとみ、井浦新、窪田正孝が語る『アンナチュラル』の特異性 石原「初めての経験だった」
来年1月12日にスタートするTBS金曜ドラマ『アンナチュラル』。同ドラマは、『逃げるは恥だが役に立つ』の野木亜紀子が脚本を手がけた一話完結の法医学ミステリー。“不自然死究明研究所(UDIラボ)”を舞台に、死因究明のスペシャリストである解剖医たちが、“不自然な死(アンナチュラル・デス)”に立ち向かい、謎を解いていく模様を描く。
リアルサウンド映画部では、三澄ミコト役の石原さとみ、中堂系役の井浦新、久部六郎役の窪田正孝にインタビュー。お互いの印象や、撮影秘話、『リバース』『夜行観覧車』を手がけた塚原あゆ子監督ならではの演出方法、今後の展開などについて、じっくりと語り合ってもらった。
井浦新「裏の芝居も本気でやっているんですよ」
ーーここまでの撮影を通して、このドラマならではの雰囲気や醍醐味を感じたエピソードを教えてください。
石原さとみ(以下、石原):エキストラの皆さんが本番中に話していいというのは、今回が初めてでした。雨の音やエキストラさんの叫び声、足音、すべてそのまま使用しています。大抵はヒールの下に音声部の方たちがガムテを貼って音を消したり、スリッパに履き替えてくださいとお願いしたりするのですが、今回は一切そういうことがありませんでした。でも、大事な場面、刺してしまったり、誰かが泣いたりするシーンほど、それらの生の音がものすごく活きて、ダイレクトに心に響くなという印象です。正直、撮影をしていて、映像になったらどうするんだろう? 繋がらないんじゃない? と思うこともあるのですが、そこはTBSの皆さんに全信頼を寄せているので、期待しています。
井浦新(以下、井浦):あれ、面白いよね。裏の芝居も本気でやっているんですよ。表の僕たちの声が小さかったら、かき消されちゃうんじゃないかってくらいの撮影もあります。
石原:クランクインしてすぐに、居酒屋で彼氏とのシーンがあったのですが、テレビで中継されていたサッカーの試合でゴールが決まった瞬間に、居酒屋のお客さんたちが、「うわーっ!」て盛り上がる場面があって、それが本当にうるさくて(笑)。だけどその分、「え?」っていうセリフを意識せずに、リアルに聞き返していました。思わず鳥肌が立つくらい現実感があるので、なにこれ!? と驚きましたね。
井浦:生っぽくなっていくんだよね、芝居が。
石原:新さんは経験者だから、慣れてますもんね。
窪田正孝(以下、窪田):お芝居は、映画やドラマのように映像になればなるほど、どうしても無音の中での撮影になります。でも、監督は舞台芝居を求めていると言いますか、ドラマのお芝居を求めていないので。監督の頭の中では、すでに絵が完成しているんだと思います。だから、欲しい絵が明確にあるので、指示も的確なのかなと。
井浦:本当に塚原監督はすごい。
石原:すごいですよね。私は、ある方に塚原さんが言った指示がすごく印象的で。「お芝居が上手すぎます」って。「お芝居が上手すぎて伝わりすぎるので、伝わらない芝居をしてください。それは芝居をしないといけないかもしれないですが、伝わらなくていいです」とおっしゃっていて、え、どっち? って思いました。逆説の逆説みたいな感じで、難しいなと。
井浦:あるある。僕は「もっとやらないでください」と言われたことがあります。やらないでってなったら、気持ちもぐーっと抑えられて、自分さえも聞こえないセリフがパッと出てきてしまったんです。でも、それが「OK!」になって、あ、いいんだ! すごく面白いなと思いましたね。
ーードラマとしてはあまり観たことがないような?
石原:わからないです。塚原組はいつもそうだと思うんですが、私は初めての経験だったので、とても斬新に感じます。
ーーやりにくさはなく、それを楽しんでいると?
石原:全力でやりやすいです。本当に。