永山絢斗、米倉涼子さながらの名外科医に? 『ドクターX 』クライマックス予感させる第8話

 二転三転する今回のエピソードの中で、キーパーソンとなるのは、今期から登場した新人外科医の西山だ。自ら率先して執刀医に名乗りをあげ、それが認められなくとも一歩も引き下がらず「患者を救うためなら手段を選ばない」と大門に宣言。そんな彼が、何と内神田の隠し子であったことで、物語はさらに一転するのである。

 半ば脅迫のように内神田から八雲を救うオペの許可を得た西山。強行的にオペをはじめ、内神田からの命で大門が助手につくわけだが、そこで手順に詰まり、大門が代わりにオペを成功させるというのはいつもの流れだ。親子のドラマと新人外科医の成長に、このオペの流れは今シーズンの第2話で、母のオペを執刀することを命じられた伊東(野村周平)の物語と、少し似ている感じがする。とはいえ、伊東はそのまま病院を辞め、バンドの活動に専念することを表明するので西山とは正反対だ。

 会見の場で大門の手腕を讃えた伊東に対し、西山はあくまでも黙り通すことで、権威への抵抗を見せる。そして、父である内神田との会食の場面で、彼はこう言い放つ「俺はあんたの権力にも、あんた自身にも興味ない。何が組織だ。何が権力だ。くだらねえ」。そう言って、彼は母がずっと持ち続けていた、彼の時計を置いて立ち去るのだ。いずれ彼は大門未知子さながらの、組織に媚びない名外科医になっていくに違いない。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『ドクターX ~外科医・大門未知子~』
テレビ朝日系列にて毎週木曜夜9時~
出演:米倉涼子、永山絢斗、内田有紀、遠藤憲一、鈴木浩介、田中圭、陣内孝則、岸部一徳、段田安則、草刈正雄、西田敏行 ほか
脚本:林誠人、寺田敏雄、香坂隆史
演出:田村直己(テレビ朝日)、松田秀知(共同テレビ)
公式サイト:http://www.tv-asahi.co.jp/doctor-x/

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