まるでドキュメンタリー!? HiGH&LOWスピンオフ『THE MIGHTY WARRIORS』の新しさ

『THE MIGHTY WARRIORS』レビュー

MIGHTY WARRIORSはどちらに付く?

 もう一つ、マイティーが魅力的なのは、チームの中にセイラ(大屋夏南)とディクシー(祐真キキ)という女性がいることだ。中でもセイラは戦闘にも参加している。これは男女平等の理念というよりは、単純に強いから戦っているという実力主義の表れなのだろう。

 こういった「能力に根ざした平等」の根底にあるのは新自由主義的な思想に根ざしたプロフッショナリズムだ。

 九龍グループも含めて、ほとんどのチームが、自分たちの仲間とコミュニティを守るために戦っている中、マイティーだけが、帰属するコミュ二ティを持たなかったが故に、音楽とファッションの力で自分たちの理想郷を作るという、風通しのいい目的意識で動いていると言えよう。

 その意味で気になるのは、一応の完結編となる劇場版第三作で、マイティーがどのような結末を迎えるかだ。軸はSWORD地区連合軍と九龍グループの全面抗争という大人と子どもの戦いだが、それはそのまま古い日本と新しい日本の世代間抗争と言える。その枠組から外れているマイティーはどちらに付くのか? 今までの流れだと、傭兵としてかつての仲間・劉(早乙女太一)のいた九龍の側に付くだろうと思うのだが、もしかしたら土壇場でSOWRDの側に付くのかもしれない。

 いずれにせよ、今までの立ち位置を考えると大きな役割を果たすことは間違いないだろう。いっそのこと、SWORDと九龍が同士討ちになって滅んだ後で、マイティーがSWORD地区に理想郷を築くくらいの超展開も見たいものである。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■商品情報
『HiGH & LOW THE MIGHTY WARRIORS』
発売中
【DVD+CD】¥3,500(本体価格)+税
【Blu-ray+CD】¥4,500(本体価格)+税

<2形態共通>
・初回限定仕様:三方背BOX+デジパック仕様
・初回封入特典:オリジナルフォトブック

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