高岡早紀の“隠したい過去”とは? 綾瀬はるか主演『奥様は、取り扱い注意』第2話レビュー

 「誰にだって、隠したい過去はある」。10月11日に放送された『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)の第2話。「私は生まれてすぐに捨てられ、教会の牧師に拾われた。優しい子に育つようにとこの人は私を優子と名付けた」という伊佐山菜美(元・島田優子/綾瀬はるか)のモノローグから始まる。そして、「でも、願いは叶わなかった」と続くのだった。

 第2話のタイトルは「着付け教室」。ワケありの過去を捨てた菜美は現在、“ただの主婦”として穏やかな生活を送っている。近所に住む大原優里(広末涼子)と佐藤京子(本田翼)という主婦友達と共に、町のカルチャースクールに通いながら女子力を磨く日々。彼女たち3人は最近、着付け教室に通い始めていた。そこには、ひと際色香が漂う受講生が一人。今回の物語の軸となる主婦・夏希(高岡早紀)である。

 ある日、夏希の前に突然、彼女のある過去を知る男・的場が現れた。彼は「この町の人たちに過去をバラされたくなかったら、一千万よこせ」と夏希を脅す。しかし、彼女は「バラされて困るような過去はない」と突っぱねた。数日後、夏希が元有名AV女優だったことが、何者かによって町中に暴露される。事実を知った菜美たちは、改めて夏希の自宅を訪れ事情を聴くことに。

 京子が、AVに出るようになったきっかけを尋ねると「簡単に言うと、私も単純な好奇心かな」と答える夏希。街でスカウトされた際に、「人生を変えるチャンスは、今しかないかな」と思ったと明かし、「それに、何の特技も才能もない私が、人生を変えるには体を張るしかないと思ったし」と続ける。この言葉は、そのまま菜美の過去を表しているようでもあった。天涯孤独に生まれ育ち、諸事情によってある国家の特殊工作員として任務を全うしていた菜美。彼女もまた荒んだ世界に身を置くきっかけとなったのは「単純な好奇心」だったのかもしれない。そして、そんな人生を変えるチャンスが訪れた時に、体を張って一度“死んだ”からこそ、「伊佐山菜美」という新しい人生を手に入れられた。

 やっと“穏やかな生活と温かな家庭”を手に入れた菜美もまた、現在の夫・伊佐山勇輝(西島秀俊)と知り合ってすぐに「この人と絶対に一緒になりたい」と思うように。「だから、過去のことを話せなかった」のだろう。すべてを話そうかと悩む瞬間もあったかもしれないが、今の生活を失うのが怖い。そう、「今幸せだから」。菜美と夏希は何だか似ている。

 「裸になるの怖くなかったですか?」と優里が聞くと、夏希は「怖かったけど、いざ裸になってみたら気持ちよかったかな」と語った。子どもの頃から、「女の子はああしなさい、こうしなさい」と言われ、手足を縛られているような感じがしていたという彼女。思い切って裸になったことで、「窮屈なものから少しだけ自由になれた気がした」と話す。

 「女に求められるのは可愛いとか初々しいとか、基本的にはお人形さんでいることだからね」と優里がつぶやいていたように、“女だからこうであるべきだ”という理想をぶつけられ、気づいたら手を足をと雁字搦めに縛りつけられている彼女たち。「いつも何かを押し付けられているような気がしたの」と目に見えない何かに支配され、主体性のない人形のようになってしまうのが嫌で、夏希は全てを脱ぎ捨てたのかもしれない。だからこそ、秘密の過去を告白していく彼女から、後悔という二文字は感じられなかった。「人様に誇れないことを生業にして生きてきた」のではなく、彼女は彼女なりの“誇り”を守るために生きてきたのだ。

関連記事