現役看護師が見た『コード・ブルー』の面白さ チーム医療の現在をどう描いている?

現役看護師が見た『コード・ブルー』

 そして、2つめは、「現場でのリモート操作」だ。ファーストシーズン、セカンドシーズンの現場でフライトドクターへの指示に使用されていた携帯電話は、スマートフォンやタブレット端末に変わり、フライトドクターの胸元についたカメラを通して病院側からリモート操作で、実際の現場の様子を見ながら指示を出すというシーンに変わった。

 記憶に新しいのは、第6話で業務用冷蔵庫内の事故でのこと。多量出血した作業員に対して、チームーリーダーの白石恵(新垣結衣)がフェローの灰谷にリモート操作で大腿動脈の結紮術を誘導する場面だ。経験もなく、麻酔もないのに手術できないと狼狽える灰谷を見かねて、フェロー横峯あかり(新木優子)が取り掛かるも難航。別の現場にいるフライトドクター藍沢耕作(山下智久)がレシーバーで灰谷に「病院に戻って嘆くのか、ここで患者を救うのか決めるのはお前だ」と伝え、意を決めた灰谷が白石の指示で処置をやり遂げたというシーンだ。

 ファーストシーズンから約10年、リモート操作からも見て取れるように、医療は目覚ましい進歩を遂げた。しかし、救命の現場では今なお、生身の人間がさまざまな葛藤を繰り返しながら医療に向き合っているのである。

 「おまえたちは全員、動脈塞栓ひとつ満足にできない半人前だ。だが3人揃うことで12歳の子供の命を救った。お前たちがダメだと言っているわけではない。救命はチームだと言っているんだ」という第8話でのフェローたちに対する藍沢の台詞や、「仲間はいる。決して馴れ合いではなく、かといって敵でもない。長い年月と体験の共有、成功体験はもちろん、辛い体験、悲しい体験、恥ずかしい部分を含めてお互いをさらけ出す。そんな時間を経て私たちは仲間になる」というフライトドクターの緋山美帆子(戸田恵梨香)の言葉こそが、このドラマの鍵である「チーム医療」そのもの表わしていると言っても過言ではない。

 今作もいよいよラストスパート、過酷な現場を経験し、さまざまな自分と対峙しつづけてきた、ドクターたちはどんな未来を重ねるのだろうか。

(引用参考文献)
https://www.kango-roo.com/word/4248
http://www.hemnet.jp
http://www.team-med.jp
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/report/201005/100469.html

■内藤裕子
ライター。雑誌やWEBの編集、イベント企画、広報、クリエイターのマネージメント等を経て、現在は看護師。一方、写真関連コンテンツの企画や構成なども手がける。

■放送情報
『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』
フジテレビ系にて毎週月曜21:00~放送
出演:山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、成田凌、新木優子、馬場ふみか、寺島進、杉本哲太、りょう、安藤政信、椎名桔平ほか
脚本:安達奈緒子
音楽:佐藤直紀
主題歌:Mr.Children「HANABI」(TOY’S FACTORY)
プロデューサー:増本淳
協力プロデューサー:中野利幸
演出:西浦正記(FCC)、葉山浩樹、田中亮
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/codeblue/index.html

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