『コード・ブルー』有岡大貴らが示す今どきの若者像ーー成長物語としての魅力を読む

 このところ低迷が続いていたフジテレビの“月9”枠にとって救いの神となっている『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』が、第4話の放送が終わった後も好調を続けている。7年ぶりの新シーズン、今や主役級となったメインキャスト全員が続投しているなど、第1話の放送前から話題に事欠かなかったが、じつは筆者は今回の第3シーズンから、このドラマを見始めた新参者。そのうえで、第3シーズンの魅力を考察していこうと思う。


 まず、第2シーズンまではフェローだった山下智久、新垣結衣たちが第3シーズンでは現場を引っ張るフライトドクターとなっている。それにより、前シーズンまで登場していた柳葉敏郎、勝村政信らベテラン勢が姿を消し、三井(りょう)が息子の看病のために一線を退いたことから、救急センターに存在するベテラン医師は椎名桔平演じる立花のみに。これが前シーズンまでとの大きな違いであり、現場を回しているほぼ全員が若者というのは、ほかの医療ドラマと一線を画しているところではないだろうか。と同時に、緊急医療センターは1分1秒を争う現場ということはさておき、彼ら(とくに新垣演じる白石)がフライトドクターとしての経験を積み、自分たちよりも下のフェローの面倒を見る余裕ができたことにより、ドラマとしても人間ドラマ=群像劇の面白さが加味されているように思う。一部には「『コード・ブルー』には恋愛要素などいらない」という声もあるようだが、このドラマ部分の膨らみこそが第3シーズンをより魅力的に見せている理由ではないだろうか。


 そして、今のところまだ活躍の場が少なく、“まったく使い物にならないフェローたち”として描写されている名取(有岡大貴)、灰谷(成田凌)、横峯(新木優子)の3人。そこに新人ナースの雪村(馬場ふみか)を加えた4人を見ていると、今どきの若者の見本市のように思えてくる。クールぶって本心を見せようとしない名取、自分に自信が持てないネガティブキャラの灰谷、空気が読めない天然キャラの横峯、そして負けん気が強く過剰に上昇志向の強い雪村。それぞれ個性は違えども、いずれも個人主義であることを感じさせる彼は、今どきの若者の象徴であり、互いに協力し合って何かをやり遂げることをダサいと感じる人が少なからずいる今の社会を表わすメタファーになっているのではないかと思う。

関連記事