BOMI「えいがのじかん」第8回

BOMIの『彼女の人生は間違いじゃない』評:スカッとするわけではないけれど、確実に何かが残る

 ラブシーンもR-15で大丈夫?というぐらい、かなり攻めていました。R-18じゃなくていいの?という感じ。ちょっとビックリはしましたが、作品の中でラブシーンが浮いているということもありませんでした。むしろ公美ちゃんはラブシーンの時の演技が1番柔らかかったかもしれません。脱ぎ方とかも妙な肉感やエロティックさをわざと演出していない感じで、日本の映画によく出てくるようなラブシーンではなく、海外の映画のような印象を受けました。

 もちろん彼女が脱いでいることで話題になっているところもあると思うのですが、大切なのはそこではない。ちゃんと映画として評価されてほしいなと思います。それがまっすぐに観客の方々に届くといいなと個人的には思います。消費されない映画であってほしいというのと同時に、たくさんに人に観られるべき映画だなと。

 ひとりの友人としても、公美ちゃんは本当に頑張ったなと思います。彼女は脱ぐことに対して抵抗がないタイプではないので、本人もいろいろと考えただろうし、それだけにこの作品にかける思いも大きかったのではないでしょうか。彼女自身のもどかしさもきちんと役に活きていたし、私がこれまで観てきた彼女の出演作の中では、1番弱々しく感じて、それがよかった。

 ただ一方で、もっとできたんじゃないかなという気もします。彼女の実力はこんなもんじゃない。この作品は彼女の代表作になると思いますが、私としては彼女の今後につながっていく作品になってほしい。本当に何でもできる女優さんなので、大きな経験になったであろうこの作品を通して、今後も活躍してほしいなと思います。

(取材・構成=宮川翔)

■BOMI(ボーミ)
シンガー。2012年6月に日本コロムビアよりミニアルバム『キーゼルバッファ』でメジャーデビュー。2015年にセカンド・アルバム『BORN IN THE U.S.A.』を発表。そして昨年12月にはTOKYO RECORDINGSプロデュースによる最新アルバム『A_B』をリリースした。モデルや女優としても活躍中。公式サイトTwitterFacebook

■公開情報
『彼女の人生は間違いじゃない』
ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほかにて公開中
監督:廣木隆一
原作:廣木隆一「彼女の人生は間違いじゃない」(河出書房新社)
脚本:加藤正人
出演:瀧内公美、光石研、高良健吾、柄本時生、篠原篤、蓮佛美沙子ほか
主題歌:meg「時の雨」(Gambit Records)
提供:ギャンビット、ギャガ
配給:ギャガ
R-15
(c)2017『彼女の人生は間違いじゃない』製作委員会
公式サイト:http://gaga.ne.jp/kanojo/

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