EXILE小林直己、海外で“日本の侍”をどう説明? 『たたら侍』完成披露上映会レポ

 劇団EXILEの青柳翔が主演を務める映画『たたら侍』の完成披露上映会が3月31日、ユナイテッド・シネマ豊洲にて開催された。監督を務めた錦織良成、エグゼクティヴ・プロデューサーのEXILE HIROのほか、出演者の青柳翔、小林直己、田畑智子、石井杏奈、宮崎美子、早乙女太一、AKIRA、奈良岡朋子、津川雅彦が登壇。さらに、日本最高峰の刀匠である吉原義人、月川貞利、上林恒平、河内国平、宮入法廣の5名より、青柳、小林、AKIRA、錦織監督、HIROの5名に、それぞれをイメージした特別作刀5振りの刀剣授与式が行われた。

刀剣を授与する小林直己

 『たたら侍』は、“本物の日本を世界へ”という想いのもと、HIROが映画初プロデュースを手掛けた時代劇。戦国時代の島根・奥出雲の村を舞台に、伝統を継承し守ることを宿命付けられた伍介が、葛藤や挫折を通して真の“侍”へと成長していく模様を描く。劇中では、当時の製鉄技術である“たたら製鉄”が再現されているのも大きな見どころのひとつで、このシーンを描くために日本美術刀剣保存協会の大きな協力があったという。

 津川雅彦は、山奥の撮影現場にHIROから「コンビニ一軒」の差し入れがあったと明かし、会場の笑いを誘うとともに、「こういうスケールの発想がある人だから、面白い映画を作るんです」と称えた。続いて、奈良岡朋子は「劇場に足を運んで観る価値のある映画」、宮崎美子は「世界のどこにもないものを作れる日本、島根県を大切にしていかなければいけない」、石井杏奈は「同世代の方、学生の方にも観ていただきたい」など、それぞれ作品の魅力をアピールした。

お國役を演じた石井杏奈

 錦織監督は、「中世以降、実は日本の侍はほとんど刀を抜いていません。背景には、真の日本の武士は刀を“抜かない”強さを持つという価値観があり、刀は侍の家のお守りとして飾ってあったそうです。(中略)世界一の製鉄技術があるということも含めて、日本人にとって誇るべきことだと思います。映画を通して、若い世代の方々にもそれを伝えていければ」と、本作の意図を明かした。

 また、世界中で本作が評価されていることについて、AKIRAは「島根県で受け継がれてきた伝統が評価されたということは、これまでにたたら吹きに携わってきた方々の功績でもあります。その人たちの侍道が認められたことは、作品に出演したものとしてとても嬉しく思います」と述べ、小林直己は「カナダのモントリオールとルイジアナの映画祭に出させてもらい、現地の方から『侍は戦士ではないのか?』との質問を受け、改めて考えました。たとえば、食事中に机の上に足を上げるのが嫌だとか、ゴミのポイ捨てをするのは嫌だとか、そういう意識や感覚は親、そのまた親から代々受け継がれて形成されてきた文化・美意識であるのかなと。『たたら侍』における、人を守るために戦うこと、刀を抜かない強さというのに共感できるのは、そうした美意識の延長に自分達がいるからだと思います。時代劇ではありますが、現代に生きる自分達にもつながるメッセージが読み取っていただけるのでは」と語った。

左から、錦織監督、HIRO、津川雅彦

 HIROは、「“日本の文化を世界へ”という大テーマでスタートしたのですが、僕にとっては監督との出会いが一番大きかった。監督の情熱に吸い寄せられて、素晴らしいキャスト・スタッフが集まって実現できました。監督と話せば話すほど、日本の深い部分を知り、僕自身も勉強するところがたくさんありました。(中略)自分は日本人の表現者として色々なことに携わっていますが、本作を通じて、新しい自分になれたなと。監督との出会いに感謝しています」と述べ、最後に、主演を務めた青柳翔は、「この作品は多くの先輩方に支えられ、なにより島根の皆さまに支えられて出来た作品です。(中略)台詞の中に『憎しみの連鎖を断ち切る』というものがあります。それは簡単なことではありませんが、人を許す気持ちは大切で、この作品にはそういったメッセージがたくさん込められています。ぜひ多くの方に観ていただきたいです」と締めた。

 『たたら侍』は、5月20日(土)より新宿バルト9 TOHOシネマズ新宿ほか全国にて公開される。

(取材・文=編集部)

■公開情報
『たたら侍』
5月20日(土)より、新宿バルト9 TOHOシネマズ新宿ほか全国にて公開
監督:錦織良成
エグゼクティヴ・プロデューサー:EXILE HIRO
出演:青柳翔、小林直己、田畑智子、石井杏奈、高橋長英、甲本雅裕、宮崎美子、品川徹、でんでん、氏家恵、橋爪遼、安部康二郎、菅田俊、音尾琢真、早乙女太一、中村嘉葎雄、佐野史郎、豊原功補、山本圭、笹野高史、AKIRA、奈良岡朋子、津川雅彦
配給:LDH PICTURES
(c)2017「たたら侍」製作委員会
公式サイト:tatara-samurai.jp

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