『映画ドラえもん』シリーズは大人も魅了し続けるーー新作に受け継がれた藤子・F・不二雄の魂

 それを考えると、ドラえもんは少し特殊で、かつて子供向けアニメとして扱われていた時代に、リアルタイムで観ていた世代が大人になったことで、もう子供向けアニメではなくなったのではないだろうか。友情や好奇心を何よりも大事にし、未来への大いなる夢を与えてくれるファンタジーに、世代なんて関係ないのだ。没後20年経って改めて、藤子・F・不二雄の偉大さを感じずにはいられない。

 今作で大長編ドラえもんは37作目を数えるが、これまで安定して300万人前後の動員を記録し続けている。興味深いことに、シリーズ最高の興行収入を叩き出したのは昨年の『新・日本誕生』であるが、平均的に見ればリメイク作品よりもオリジナル作品のほうが動員も興収も上回っているのだ。それだけ、誰もが新しいドラえもん映画との出会いを心待ちにしているということだろうか。昨年を上回るスタートを切った今年は、また新たな記録が誕生する予感が漂う。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■公開情報
『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』
全国東宝系にて公開中
声の出演:水田わさび(ドラえもん)、大原めぐみ(のび太)、かかずゆみ(しずか)、木村昴(ジャイアン)、関智一(スネ夫)、千秋(ドラミ)
原作:藤子・F・不二雄
監督・脚本:高橋敦史
(c)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2017
公式サイト:http://doraeiga.com/2017/

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