波瑠 VS 斉藤由貴の終着点は? 『お母さん、娘をやめていいですか?』最終回に向けて

 だが、彼もまた母親にコンプレックスを抱えている。小さい頃に別れたきり、何度か手紙をよこしただけの母親。異常なほど仲のいい顕子と美月の母娘を見て、「ほんとのこと言うとムカついた」と言う彼は、「お母さんと母親が同じ名前」という嘘で母娘に近づき、美月に言っていないことを顕子に話し、顕子に寄りかかられたことに困惑しつつも、美月が嫉妬するほど顕子を思いやる。その姿は、美月を愛し顕子から守ろうとする明るい好青年のはずの松島に小さな影を落とし、違和を感じさせている。これまでただ美月を支えるだけだった松島は、最終回どう動くのだろう。

 

 最終回のタイトルは「人形の家」だが、顕子の家が人形の家だとしたら、美月が助けを求めて身を寄せる松島の家は、電車の家だ。家の近くで電車が走っている。人形の家に一生閉じ込められそうな美月は、松島と共に電車に乗って自由になることができるのか。それとも母親というお妃さまに、白雪姫の娘は降伏し、毒リンゴを自ら食べるのか。彼らの終着点はどこにあるのだろう。

 予告だけでもスリリングだった最終回は、母親と父親、娘と恋人の4人をどんな明日に向かわせるのか。必見である。

■藤原奈緒
1992年生まれ。大分県在住の書店員。「映画芸術」などに寄稿。

■番組情報
『お母さん、娘をやめていいですか?』
1月13日(金)~3月3日(金) 午後10時00分~10時49分
毎週金曜(NHK総合・全国放送・全8回)
脚本:井上由美子
演出:笠浦友愛
出演:斉藤由貴、波瑠、柳楽優弥、寺脇康文、石井杏奈、麻生祐未、大空眞弓、壇蜜
制作統括:櫻井壮一
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/nagoya/okamusu/
写真提供=NHK

関連記事