深夜ドラマ、個性的な作品生まれる理由 “製作委員会方式”のメリットを読む
今クールも、話題の深夜ドラマがいくつも生まれている。例えば、山田孝之がカンヌ映画祭での受賞を目指し山下敦弘監督らを巻き込みながら突き進む『山田孝之のカンヌ映画祭』(テレビ東京)や、時に主演することもある名脇役が勢ぞろいした『【ドラマ24】バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』(テレビ東京)などなど。いわゆるゴールデン・プライムと言われる時間帯のドラマとは異なり、個性の強いタイトルが編成される深夜ドラマ枠。深夜といっても、続編や映画化といった展開がしばしば起こっていることからもわかるように、熱狂的な支持者を得て、ジワジワと認知を拡大しているものも少なくない。
では、なぜ深夜ドラマが活況を呈しているのか、作品論ではなく、環境から読み解いてみたいと思う。
深夜ドラマの場合、製作委員会方式を取られていることが多々ある。テレビ番組というのは、一般的には、放送局の制作費で局の制作セクションや制作会社が作るわけだが、製作委員会方式となると、制作費は関係各社の出資によって賄われている。この違いによる最も大きな点は、まず、権利の所在に現れる。放送局の制作費で作られた番組の著作権は、ほとんどの場合、局が保持している。しかし、製作委員会方式の場合は、放送局の独占ではなく、製作委員会も著作権を持てることになるのだ。
では、製作委員会方式のメリットとは何か。放送局からすれば、制作費を使うことなく(あるいは、製作委員会から番組を購入するという形を取ることにより、割安で)番組を編成できる。出資者からすれば、テレビという影響力の強い場所でコンテンツをPRすることができ、二次展開(ビデオグラム化や配信など)で収益を獲得するチャンスが生まれる。映画化を前提とした企画の場合は、ドラマも制作することでコンテンツ自身の認知力を上げるという、いわば、映画のPRのためにドラマを作るということすらある。このように、製作委員会方式の場合は、視聴率を取ること以上に収益を上げることが目的になっているため、いわゆる万人ウケするタイプの作品というよりも、コアなファンを獲得できるような作品が、自ずと望まれているのである。