“台湾の新星”ヤオ・アイニンインタビュー 日本映画初主演作『恋愛奇譚集』を語る
福島県天栄村を舞台にした恋愛映画『恋愛奇譚集』が2月4日に公開された。『ストロベリーショートケイクス』や『百瀬、こっちを向いて。』などの脚本作で知られる狗飼恭子が脚本を手がけ、『思春期ごっこ』の倉本雷大監督がメガホンを取った本作では、恋愛を信じない台湾人の高校生ユーウェンが、交換留学生としてやってきた福島県天栄村で出会った人々との交流を通して、成長していく模様が描かれる。リアルサウンド映画部では、2015年公開の台湾映画『共犯』で注目を浴びた“台湾の新星”ヤオ・アイニンにインタビュー。日本映画初主演となる彼女は、本作の出演を通して何を感じたのかーー。
「『意外と歳いってるんだね』とよく言われます(笑)」
ーー日本で劇場公開される出演作品は、2015年公開の台湾映画『共犯』に続いて2作目ですね。
ヤオ・アイニン(以下、アイニン):主演は今回の作品が初めてなのですが、実は『共犯』も最初は主演の予定だったんです。そのつもりで撮影に臨んだのですが、ミステリー性をより強めるために、編集段階で私の出演シーンが少なくなりました。『共犯』は初めて本格的な演技に挑戦した作品だったので、自分がどういう役割かを気にする余裕もなく、私自身もそこまで考えていませんでしたが、実際はもっとたくさんのシーンを撮影していました。
ーーでは、そこから演技の経験を重ねて、今回改めて“初主演”ということになるわけですね。
アイニン:しかも日本映画ということで、最初にお話をいただいたときはかなりドキドキしました。やっぱり言葉の壁があるし、そんな大役を自分が務められるのかという不安があって。なんで自分なんだろうとは思いつつも、是非やりたいなと。
ーー不安な気持ちと楽しみな気持ち、どちらのほうが強かったですか?
アイニン:(日本語で)ワクワク! 『共犯』のプロモーションで来日した際に舞台挨拶などで「もっと日本で仕事がしたい」と言ったのですが、こんなに早く実現できるとは思ってもいませんでした。日本語もまだ上達していないのに、こんなに大きな役をいただけてとても嬉しかったです。もちろん不安な気持ちもありましたが、とてもありがたいことなので頑張ろうと思いました。共演者の方々もスタッフの皆さんも本当に親切で、私が言葉を100%わかるわけではないということを理解してくれた上で、簡単な日本語で声をかけてくれたりしたんです。なので、言葉の部分でそこまで苦労をしたことはありませんでした。ユリ役の福田麻由子さんともすごく仲良くなったんです! 撮影の最後には手紙もいただきました。内容は秘密ですけどね(笑)。
ーー『共犯』も『恋愛奇譚集』も高校生の役柄ですが、ヤオ・アイニンさんの実際の年齢は26歳なんですよね。
アイニン:そうなんです……。よく「意外と歳いってるんだね」と言われます(笑)。これまで演じてきた役柄もほとんどが学生の役でした。でもそれはエンターテインメントの世界にいるからこそできること。いつまでも好奇心を持って若い気持ちでいられるのは、この仕事をやる上ではいいことだと思っています。逆に私が実年齢の26歳の役を演じたら、歳相応に見えなくて説得力がなくなってしまうかもしれません。先日、自分と同じ年頃の社会人の役を演じたのですが、やっぱりちょっと幼く見えてしまいましたね。
ーー今回の作品は大きな枠組みでいうと恋愛映画ですが、いわゆる一般的な恋愛映画とはまったく異なる雰囲気を持った印象を受けました。
アイニン:私もそう思いました! かなり独特で、ジャンルとして説明できないような。ファンタジックでもあり、ミステリーの要素もあって、最初に脚本を読んだときは正直理解に苦しみました。でも、脚本を最後まで読みきったら、人と人とのコミュニケーションの話であること、たとえ魂や霊のような存在になっても、人として心を通わせることはできるんだということに気づき、とても素晴らしいメッセージだなと思いました。