木村拓哉主演『A LIFE 〜愛しき人〜』初回レビュー 鍵を握るのは得体の知れない浅野忠信?
ちょっとだけ残念なのは、『白い巨塔』の財前がそうであったように、そしてその強い影響下にあった『振り返れば奴がいる』の司馬がそうであったように、病院を舞台にした連ドラには「主役が善人ではない方がおもしろい」という由緒正しき伝統があるにもかかわらず、少なくとも今のところ、『A LIFE』の沖田にはそのようなキャラクターに転じる気配がまったくないこと。そういう意味でも、やはり今後の展開の鍵を握るのは、善人なのか悪人なのかまださっぱりわからない壇上だろう。この得体の知れないキャラクターで浅野忠信が役者としてのポテンシャルを全開にするようなことがあれば、『A LIFE』は間違いなく化けるはずだ。
■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)。Twitter
■放送情報
日曜劇場『A LIFE〜愛しき人〜』
毎週日曜よる9時〜9時54分
※1月22日(日)放送の第2話はよる10時09分までの15分拡大
出演:木村拓哉、竹内結子、松山ケンイチ、木村文乃、菜々緒、及川光博、浅野忠信ほか
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/ALIFE/