『映画 妖怪ウォッチ』アニメ×実写のハイブリッドで娯楽大作に! 自虐ネタ満載の作風を読む

 もちろん友情物語や、今回の大騒動の原因となる浜辺美波演じる少女の葛藤など、ドラマ要素は込められているが、とにかくギャグアニメであることにプライドを持って堂々と観客を笑わせにきているではないか。前2作と比べて圧倒的にギャグのセンスをブラッシュアップし、完膚なきまでに娯楽に徹した本作は、『妖怪ウォッチ』に求めていた姿そのものだ。

 来年も第4作目の公開が決定しており、今後も東宝のアニメ映画シリーズの一角として堂々と君臨し続けるに違いない。今年の春に『名探偵コナン/純黒の悪夢』を取り上げた際に、『ドラえもん』と『クレヨンしんちゃん』、そして『名探偵コナン』という毎年春にルーチン公開されるシリーズが、近年大きくテコ入れされて上昇気流に乗っていることを紹介した。(参照:映画『名探偵コナン』シリーズ、なぜ人気上昇? コアな映画ファンの立場から読み解く

 一方で、『妖怪ウォッチ』の登場により、公開時期は違えども夏休みの定番アニメとなっていた『ポケモン』が近年不調を迎えていることにも触れた。(参照:『ポケモン』『デジモン』『妖怪ウォッチ』……映画作品から読み解く、それぞれの戦略)そこで予期した通り、来年夏に公開される劇場版20作目は、長年に渡るファンに向けた作品になりそうだ。「金・銀」から登場している伝説のポケモン・ホウオウが描かれたポスターがこのほどお目見えし、今年の夏に社会現象を巻き起こした「ポケモンGO」(ちょうど先日から「金・銀」のポケモンの一部が追加されはじめた)との連携も期待される。来年もまた、東宝のアニメ映画の勢いを目の当たりにすることだろう。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■公開情報
『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』
12月17日(土)公開
出演:南出凌嘉
(c)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2016

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