滝沢秀明『せいせいするほど、愛してる』いよいよ最終回へ! 忘れられない名シーンの数々を振り返る
恋のライバル・中村蒼の魅力が増した第6話
滝沢演じる三好と、中村演じる宮沢による恋の争いが、いよいよ激化してきたのが第6話。宮沢の一見すると軽そうだが、実は一本芯の通った度量のあるキャラクターは、特に女性視聴者の注目を集め、SNSでは三好派と宮沢派で人気を二分するほどになった。未亜に対する少々強引とも思えるアプローチや、どこか慣れない関西弁も、ファンにとって“萌えポイント”となった。未亜を抱きしめて、溢れる愛情を告げるシーンは、特に視聴者の心に刺さったのではないだろうか。(参考:滝沢秀明 vs 中村蒼、好対照のイケメンぶりーー『せいせいするほど、愛してる』のキャラ比較)
木南晴夏、狂気の演技が炸裂した第7話
第6話が9.7%という高い視聴率を記録したのは、中村の人気に依るところも大きいだろうが、ラストで衝撃的な演技を見せた木南晴夏の功績でもありそうだ。第7話の冒頭では、前話のラストシーンで木南演じる優香が放った「このどろぼう猫!」というセリフが、何度もリフレインされた。優香の狂気じみた振る舞いはさらに加速し、“地獄の晩餐会”と名付けられたメインキャラクター4人での食事シーンでは、ナイフを持って怒り叫ぶ演技も披露した。個性派女優としても知られる木南晴夏は、公式サイトのインタビューにて、「優香さんもすごく勝手でダメなところだらけなんですけど、ある意味すごく愛おしいです。私だけではなく、役者はみんな自分の役のことは味方しているんじゃないかと思うんです。未亜ちゃんだって海里だって、誰かからみたら悪者で、自分の役の味方をしてあげないと演じきれないと思うので、私も優香さんの味方をしたい、という気持ちで演じています」と、今作の役どころについて語っている。ヒロインの恋路を邪魔する立場にも関わらず、優香が人気キャラとなっているのは、彼女の役に対する真摯な姿勢があってこそだろう。(参考:滝沢秀明、“真顔”で笑わせる凄さーー『せいせいするほど、愛してる』で示したアイドルの新境地)
滝沢の“困り顔”が魅力的な第8話
第6話の「このどろぼう猫!」以来、優香の強烈なキャラクターに注目が集まっていたが、海里たちもまた負けないぐらいの存在感を発揮している。第7話のラスト、海里がエアギターに没頭しているところを、未亜に目撃されてしまうという展開から、第8話では困惑して涙する海里のいじらしさが目を惹いた。優香のこれでもかというほど欲望をさらけ出した姿に呼応するように、海里たちもまた、情けなくも愛おしさを感じさせるシーンを見せてくれたのだ。海里が未亜に別れを告げられ、涙ながらに夜空を見上げるシーンは、不格好だが同情を禁じ得ないものがあった。そこにいたのは、人気アイドル・滝沢ではなく、ひとりの傷心した男だった。(参考:滝沢秀明、“困り顔”の色気ーー『せいせいするほど~』の情けない演技が人々を惹きつけるワケ)
束の間の幸せを噛み締めた第9話
おたがいに恋を諦め、海里は優香と、未亜は宮沢と、新たに関係を築いていこうとするのだが、どうしても心を切り替えることができず、ついにふたりで駆け落ちすることを選んだ第9話。第7話とは反対に、未亜のひとりカラオケを海里が目撃してしまったところから、ふたりは改めて気持ちを確認し合い、海里の父が残したというコテージへと向かう。ふたりではしゃぎながら部屋の掃除をして、軒先でバーベキューを楽しみ、夜は花火を見て、海外移住する夢を語り合う。だが、その時間はかりそめのものだと、ふたりはどこかで自覚している。その後、本稿の冒頭で説明した「メス豚!」のシーンへと繋がっていくのだが、コテージで過ごしたわずかな時間は、本作において最も幸福なワンシーンだったといえるだろう。
いまだ多くの問題が残されたまま迎える最終回。果たして、ふたりの許されざる恋は実るのだろうか。実ったとして、海里のことを深く愛した優香の気持ちはどこに向かうのか。宮沢は、ただ潔く引き下がるだけなのだろうか。どちらにしても、誰かが涙を呑む結末を迎えそうだ。
(文=松下博夫)
■番組情報
『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)
毎週火曜日10時~
出演:武井咲、滝沢秀明、水沢エレナ、トリンドル玲奈ほか
原作:北川みゆき
脚本:李正美、渡邉真子、井上聖司
演出:石井康晴、池田克彦、岡本伸吾
プロデューサー:伊與田英徳
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/seiseisuruhodo_love/