角川映画メディアミックスの“本気”と“意地”ーー企画展『角川映画の40年』レポート
もちろん、「第1章 大旋風―角川映画の誕生」「第2章 “角川三人娘”登場―アイドル映画の時代」「第3章 アニメーションと超大作」「第4章 再生、そして現代へ」と章立てて、角川映画のたどってきた40年をしっかりと紹介している。角川映画の始まりである市川崑監督の1976年作品『犬神家の一族』の写真アルバム、主人公金田一耕助のトランクや帽子といった映画遺産といえる貴重な資料も豊富。『セーラー服と機関銃』のあの”カ・イ・カ・ン”シーンの演出プランが書き込まれた台本など、映画ファンにはたまらない品も展示されている。
ただ、そういうことを抜きに、こういうと変な話だが、角川映画にさほどなじみがなくても楽しめる趣向のこらされたコーナーもいくつか用意されている。それは企画展の導入部、入り口にまずある。ここに用意されているのは、『犬神家の一族』の有名なあの湖のシーンに登場する、あの脚をかたどったキット。ここは写真撮影OK。ぜひ記念写真を。
また、中ほどに設けられた一室には、薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子の大型ポスターがずらり横並びに。その前にイスが一脚用意されていると、座ると当時アイドル女優と呼ばれた彼女たちに囲まれる。いわばここは当時、彼女たちに魅了されたファンの自宅といった趣向のコーナー。イスに腰掛けると、1980年代が不思議と偲ばれる。
そして、最後の最後に待っているのがミニシアターコーナー。ここでは『人間の証明』『セーラー服と機関銃 完璧版』といった角川映画を代表する作品の当時、大いに話題を呼んだ予告編が5編連続で常時上映されている。ほとんどの予告編は、そのとき限りの命。こういう機会でもないと見るチャンスはほとんどない。これぞ企画展示ならでは可能で、だからこそ実現できる試み。こちらもぜひ足を止めてほしい。
なお、以下のようなトークイベント及び、上映イベントも開催される。
≪角川映画≫―宣伝の現場から
日程:8月20日(土)
時間:15:00~
場所:展示室ロビー(7階)
講師:野村正昭氏(映画評論家、元《角川映画》宣伝担当)
≪角川映画≫はミステリ映画をどう変えたか
日程:9月24日(土)
講師:中川右介氏(評論家・編集者、「角川映画1976-1986」著者)
崔洋一監督来訪!上映&トーク
日程:10月29日(土)
時間:14:00~『友よ、静かに瞑れ』上映
15:45~崔洋一監督トーク「私の《角川映画》時代」
会場:小ホール
料金:一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円/
障害者(付添者は原則1名まで)無料
※詳細はホームページにて http://www.momat.go.jp/fc/