『ゴーストバスターズ』『死霊のはらわた』……80年代洋画、相次ぐリブートの背景

 そして、良くも悪くも80年代を象徴するSFコメディ大作の『ゴーストバスターズ』は、度重なるトラブルやオリジナル2作のアイヴァン・ライトマン監督の降板を経て、ようやく2016年にリブート作として世に送り出された。前評判はあまり芳しくなかったものの、アメリカ本国ではまずまずのヒットを記録していて、「80年代リブート」の機運がここで削がれることはなさそうだ。

 さて、こうなってくると『E.T.』は? 『グーニーズ』は? 『スタンド・バイ・ミー』は? 『アルタード・ステーツ』は? 『遊星からの物体X』は? といった話になってくるわけだが、それらすべての要素(他にも『AKIRA』とか『MOTHER 2』とか『エルフェンリート』とかいろいろ入ってるんだけど)をぶっこみながら、とんでもない完成度を誇る傑作『ストレンジャー・シングス』が映画ではなくテレビシリーズ(Netflix)として突然現れたりするのが、今の時代ならでは。そういえば、『死霊のはらわた』の30年後を描いた『死霊のはらわた リターンズ』(Hulu)の真摯な仕上がりにも不意をつかれた。リビングに豪華なテレビセットを持っているアラフォー以上の世代のニーズを直撃ということも含めて、今後「80年代リバイバル」の主戦場となるのは、映画ではなくテレビシリーズとなるかもしれない。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮新書)発売中。Twitter

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■ムック情報
『私たちが愛した80年代洋画』
辰巳出版
発売日:8月9日
価格:1,080円

<インタビュー>
☆大根仁
☆武田梨奈
☆松江哲明

<ジャンル別ガイド>
☆アクション・アドベンチャー
☆SF・ファンタジー
☆青春・ラブストーリー
☆コメディ
☆ホラー・サスペンス

<企画>
☆80年代を彩った名匠とスターたち
☆70年代を食い尽くし、本格的に再起動されはじめた80年代ハリウッド大作
☆少年たちを熱狂させた80年代洋画ファミコン
☆80年代「洋画雑誌」が伝えた文化
☆80年代の主な出来事と洋画界の流れ

<コラム>
☆香港アクション映画の輝ける名シーン
☆戦争映画が伝える普遍的なメッセージ
☆81年のMTV開局が音楽と映画を近づけた
☆親の目を盗んで観たあの頃の〝お色気〞映画
☆一瞬も目が離せない! クライムサスペンスの傑作

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