『民王』はなぜ中毒性が高い? おバカとシュール、2重構造の“笑い”

 そしてもう1つ忘れてはいけないのが、政治の風刺。政党、政治家、政策などをおちょくるようなシーンは、鉄板の爆笑ポイントであるとともに、政治不信や不祥事への反発もあって、快感を覚える人が多い。そして、入れ替わりがきっかけで人格者となる武藤泰山に、総理大臣の理想形をオーバーラップさせている。もしかしたら『民王』のファンタジーは、人と人の入れ替わりではなく、理想の総理大臣に対する幻想なのかもしれない。

 15日に放送された『民王スペシャル』でも、連ドラ時代の爆笑や政治風刺は健在。閣僚たちが幼稚園児と入れ替わったシーンは文句なしで笑えたし、学生政治団体を絡めた展開も風刺が効いていた。22日放送のスピンオフは、武藤親子に勝るとも劣らない人気者・貝原のエピソードだけに、これまで同様に目が離せない。

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。

■番組情報
『民王スピンオフ~恋する総裁選~』
2016年4月22日(金)夜11時15分から放送
出演:高橋一生、相武紗季、升毅、林家正蔵、山路和弘、遠藤憲一
監督:山本大輔
脚本:西荻弓絵
原案:池井戸潤『民王』(文春文庫)
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/tamiou/

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