Juice=Juice主演『武道館』が示したアイドルの変化――恋愛禁止や特典商法の果てにあるものは?

◆「反抗期」?を迎えた宮本佳林

 愛子役を務めた宮本佳林は、デビュー当初よりそのアイドルとして模範的な可愛らしいキャラクター、ふるまいが特徴であり、一部では「アイドルサイボーグ」といった通称で呼ばれることもあった。そんな彼女が、ここ最近「反抗期」に突入したともっぱらの評判なのだ。

 その最初の事例は、現在展開中のツアー「Juice=Juice LIVE MISSION 220 〜Code2→NEXT to YOU〜」の一環である、2月21日の柏PALOOZAでのライブMC。筆者本人は直接現場を目撃したわけではなくあくまで伝聞なのだが、観客に向かって「(メガネの人だけじゃなく裸眼の人もコンタクトの人もとっても素敵)……んなわけないだろ」「ドラマ見た人〜?(挙手)じゃあ見てない人〜?(挙手)……帰れー」と言い放ったりしていたというのだ。

 まあ毒舌キャラのアイドルというのも昨今では特に珍しいわけではないのだが、そういうことを言ってこなかった佳林ちゃんが言ったというところに意味がある。この日のみの気まぐれ発言という可能性もあったのだが、以降もライブMCやラジオなどで同様の発言は続いており、J=JメンバーもMCやブログなどで「佳林が反抗期になってしまった……」と嘆いている。

 この状況に対して佳林ちゃん本人が説明が行った現在までの唯一の機会が、bayfmでのレギュラーラジオ『We are Juice=Juice』3月1日オンエア分であった。本放送での発言を要約すると「恥ずかしくて顔が赤くなることが多くなってきたので、つい口からでまかせを言ってしまう」「(綾小路)きみまろさんっぽくなったんだなと思ってもらえれば」ということになる。

 また、この『We are Juice=Juice』では本放送の他に、おまけトークが足されたインターネット版も随時配信されているのだが、この回でむしろそのネット版の方の内容が重要であった。そちらも要約すると「17歳になって、以前よりもメンバーやファンなどみんなのことがより好きになった」「そうなった時に、前みたいに素直に『好き』と言うことが恥ずかしくなってきた」ということであり、それが毒舌の原因のようなのだ。同ラジオで同席していた金澤朋子からは「それって反抗期というより思春期みたいだよね」という指摘があり、それを受けて佳林ちゃんは「この反抗期は、本来の私の性格なのかもしれない。幼い頃は結構気性が激しかった」と述懐していた。

 この一連の変化が、ドラマで主演を務めラブシーンを演じた経験が引き起こしたものだという見方もあるが、本当のところはあくまで本人にしかわからない。ただ、佳林ちゃんの変化の時期とドラマの放送期間がほぼ一致しているということだけが事実として残っている。ファンはアイドルの活動を通して各々がそれぞれの「物語」を読み取って楽しんでおり、ドラマ放送が終了しても、Juice=Juiceの物語は現在進行形で継続中である。

■ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。
https://twitter.com/prse

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