『スター・ウォーズ』最大のライバル!? 『妖怪ウォッチ』新作の仕上がりをチェックだニャン!

『妖怪ウォッチ』新作を最速ロングレビュー

 昨年12月、公開初週の週末に16億2889万3000円というとんでもない数字を叩き出し(自分も映画館で息子と一緒に並びました)、興収77.8億(2015年12月時点)、2015年の年間興収ランキングで3位となった映画『妖怪ウォッチ』第1作目。1年前には、NHKの紅白歌合戦をはじめ年末の歌番組などでも大活躍して日本中で現象を巻き起こした、2010年代に生まれた唯一の「国民的キラーコンテンツ」が、今年の年末も映画館にやってくる。

20151206-youkai-watch01.jpg
(c)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2015

 2作目の映画となる本作の存在は、昨年の『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』の最後で既に告知されていたものだ。実は、そこでは今年同時期公開の某映画のパロディ作品になることが仄めかされていたのだが、さすがにそれは挑発的すぎると判断されたのか、あるいは最初からただの妖怪ジョークだったのか、今作『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』は物語の大風呂敷を広げてみせた1作目の映画とはかなり異なる仕上がりになっている。

20151206-youkai-watch05.jpg
(c)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2015

 作品の形式は、はっきりと某オムニバスドラマ風。例の狂言回し的な役割を担うのはサングラスをかけたウィスパーだ。TVアニメ『妖怪ウォッチ』の特異な点は、もともとがオムニバス形式で、30分の放送時間の中で異なる登場人物の物語が複数詰め込まれてところにあるが、今回の映画版はそれをそのまま1時間40分に拡大したような作りとなっている。これは初の長編映画であることに気負ってか、スケールの大きな物語を語ろうとして途中から息切れしているようにも思えた前作との顕著な違いであり、結論から言うと、そのことが今作をとても好ましいものにしている。

20151206-youkai-watch03.jpg
(c)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2015

 タイトルにも明記されているように「5つの物語」が語られている本作。順番に、ケータ、ジバニャンと生前の飼い主エミちゃん、コマさんとコマじろう、今年の中盤からTVシリーズに登場した新キャラクターのイナホとUSAピョンを主人公とする4つの心温まる短編作品の後に、まるで『アベンジャーズ』のように主要キャラクターが勢揃いして戦いを繰り広げる中編作品が最後を締める。その構成は非常に洗練されていて、「そっか、『妖怪ウォッチ』の場合、映画だからといって普段と違うことをしなくてもいいんだ」ということに気づかされる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「作品評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる