ジム・キャリーの真骨頂! 『帰ってきたMr.ダマー バカMAX』に見る、コメディアンとしての実力
ジム・キャリーはアドリブの演技が多いことでも有名だ。97年に公開された『ライアー・ライアー』では、ジムのアドリブがあまりにも長すぎたため、フィルム代だけで制作費が高くついたという逸話もあるらしい。本作でも、首吊りのパントマイムやユーモラスな食事シーン、自動車のフロントグリルをベロベロ舐める演技などは、彼のアドリブが活かされたシーンなのだろう。普通の役者なら想像をしないであろう突拍子もない行動や“ゴム顔”と称される自由自在な表情には、語らずとも身振り手振りだけで笑いを誘うパワーがあり、頭のネジが吹っ飛んだような怪演ぶりは、ときに笑いを通り越して狂気的ですらある。まさに、スラップスティック・コメディの名手といえよう。
もちろん、彼の魅力は決してコミカルな部分だけではない。『トゥルーマンショー』では、全世界から騙されていた男が真実を知るまでの喜怒哀楽を丁寧に演じていたし、『ふたりの男とひとりの女』や『マスク』では、コメディタッチでありながらも静と動のような2面性のある役どころをきっちりと演じ分け、主人公の内面の葛藤を繊細に表現していた。だが、本作のようなコメディ全開の振り切れた演技こそがジムの真骨頂であり、ファンにとっては待望だったはずだ。かつてと変わらぬバカっぷりを再び見せてくれたジム・キャリーに、最大限の拍手を送りたい。
(文=泉夏音)
■公開情報
『帰ってきたMr.ダマー バカMAX!』
公開中
監督:ボビー・ファレリー、ピーター・ファレリー
出演:ジム・キャリー、ジェフ・ダニエルズ、キャスリーン・ターナー、レイチェル・メルビン、ロブ・リッグル、ローリー・ホールデン
2014年/アメリカ/英語/カラ―/109分/ビスタ/
原題:Dumb and Dumber TO
提供:日活
配給:東京テアトル
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公式サイト:bakamax.com