蒼井優は30歳を迎えてどう変化したか? 『MEKURU』編集長が語る彼女の"底知れぬ凄み"

蒼井優の“底知れぬ凄み”

 蒼井優や岡田将生、タナダユキ監督などが連載を持つカルチャー誌『MEKURU』。17日に発売される同誌の「VOL.05」では、同日に30歳を迎える蒼井優を特集し、『蒼井優、最初で最後に恋愛を語る』というテーマを掲げている。

同誌の編集長・上田智子氏は、蒼井が16歳のころに初めて仕事をし、写真集『トラベル・サンド』『ダンデライオン』の編集を手がけた。同特集は「30歳の誕生日に記念号を作りたい」という思いがきっかけで生まれたそうだが、なぜ今、「恋愛」をテーマにしたのか。上田氏に訊いた。

「20代を総括するテーマは何がいいかと考えたときに、"彼女の人間的魅力や考え方の軸のようなものを、恋愛観を通して伝えられるのではないか"と思ったんです。初恋の淡い思い出から、男女問わずどういう人に惹かれるのか、人付き合いはどんなふうにしているのかなど、"人としての在り方"のようなものも含めて、合計4時間ほどじっくりとお話を聞いています。また個人的には、"ワイドショーで報じられる蒼井優"が、あまりにも私の知っている本人像とかけ離れているので、このインタビューで否定しておきたい......という目論見も少しありました」

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 蒼井が少女のころから成長を見届けてきた上田氏は、彼女にどのような変化を感じるのか。インタビューの中では、「嫌いなものの理由はすぐに言えるけど、好きなものの理由を挙げるのは難しい。でも、"これが好きなんだ"ということがはっきりわかるようになってからは、"自分はこう思っている"という考えを相手にも言えるようになった」というような内容のことを話しているそうだが、上田氏から見ても「真正面から人や物事に向き合う強さがますます出てきた」と感じられるという。

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「冗談が大好きなユーモアあふれる性格と、考えていることを適切な言葉で伝えられる頭のよさ、思慮深さは10代のときから変わりません。ただ、傷ついた心にとことん向き合って芝居に活かそうとするストイックさや、数々の困難な役を演じきったことからくる底知れぬ凄み、立っているだけで問答無用の説得力がでてしまうオーラは、ここ数年で出てきたものだと感じます。また、これは芝居の仕事もそうなのだと思いますが、雑誌での仕事も、一度コンセプトに納得したら、すべて身を委ねてくれる度胸のよさがあって。これも20代中盤ぐらいから感じるようになりましたね」

 本特集のもうひとつの目玉は、『明星』で第40回木村伊兵衛写真賞を受賞した川島小鳥が撮影を手がけた写真だ。「20代最後の軽井沢の旅」を44ページにわたって追った、プチ写真集のような仕上がりになっているという。「シャッターの回数を重ねるたびに、ふたりが共鳴していくのが見て取れてゾクゾクしました」と上田さん。蒼井は仕上がった写真を見て「こんな表情が撮れている写真はめずらしいです」とコメントし、川島も撮影から数日経っても「まだ撮影の余韻が抜けない」と話していたそうだ。雑誌にしては異例のボリュームということもあって、お互いに印象的な撮影になったことがうかがえる。上田さんは、撮影の様子をこう話す。

「メインの撮影場所は、詩人・谷川俊太郎さんが子どものころから避暑で過ごしている別荘(谷川邸)。小鳥さんが谷川さんと共著『おやすみ神たち』(ナナロク社)を出しているということもあって、特別に撮影許可をいただいたんです。フォトストーリーは小鳥さんと蒼井さんの『はじめまして』から時系列に並べてあるのですが、谷川邸の写真から、グッと真に迫った表情に変化していくのが見てとれます。谷川邸での撮影後は、谷川さんやお孫さんたちとお茶をしたのですが、そこで谷川さんが、詩『あおいゆう」』の朗読をサプライズでプレゼントしてくださって。蒼井さんはすごく喜んでいて、移動のロケバスの中で何度も読み返していらっしゃいました」

膨大な写真のセレクトは、蒼井本人も参加している。制作期間を振り返って、「『トラベル・サンド』も何日もかけて一緒にセレクトしましたが、ご本人がここまでページ作りに参加してくれる女優さんって、あまり知りません。いつも『一緒にものを作っている』という感覚があって、刺激的です」と上田氏。"蒼井の今"を丁寧に閉じ込めた『MEKURU VOL.05 』は、熱心なファンではなくても楽しめそうだ。また同誌は29日、結成20年を迎える「グループ魂」特集号も発売する。こちらもあわせてチェックしたい。

(取材・文=西田友紀)

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