「宇宙から返歌が!」 俵万智と油井亀美也、地上と宇宙で31文字を送りあう
国際宇宙ステーション(ISS)で約5か月間にわたる長期滞在を終えた、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の油井亀美也宇宙飛行士ら4人が、日本時間1月15日午後5時40分ごろ、地球に無事帰還した。
油井は、日本の実験棟「きぼう」を中心に、さまざまな科学研究や技術実証に取り組み、将来の月・火星探査や次世代宇宙ステーションの運用に向けた知見の獲得に貢献。そんな日本人として10人目となる宇宙飛行士に、地球から粋なエールを送る歌人がいた。
誰もみな小さな光それぞれにそしてすべてにエールを送る
歌人の俵万智が、国際宇宙ステーションで活動中の油井に向け、エールの短歌をXでポストしたのだ。宇宙ステーションでの活動映像を度々ポストしていた油井に向け、「長歌に添える反歌のように一首詠んでみました。」と、歌人ならではの応援だ。
「きれい!」から始まる今日をありがとう油井さんからの光の手紙
油井は帰還直前に、宇宙ステーションから見えた地球のオーロラをタイムラプスで記録、その映像を地上のわたしたちに届けてくれた。
ふいに来る残り時間を輝いて宇宙から見る日本のかたち
俵は2025年に『生きる言葉』(新潮新書)を刊行、12月時点で13万部を突破するベストセラーとなった。デビュー38年を迎えた今でも、俵は精力的に言葉の探究を続ける。X(旧Twitter)での創作もその一環だ。宇宙飛行士がXでポストした映像に、俵が添えた返歌を味わえる。わたしたちはそんな贅沢な時代を生きている。さらに驚くべきことに、俵の歌に対して宇宙から返歌がーー。
カメラ越し見える光と見つめ合い互い励ます瞬間が好き
なんと宇宙の油井から俵の歌にさらに返歌があったのだ。ポルノグラフィティのデビュー曲『アポロ』(1999)の歌詞に「ラヴ・E・メール・フロム・ビーナスなんて素敵ね」という一説があるが、それが現実となったようだ。
ひとつずつ灯りは消えて暗闇は希望のサインと思う星空
帰還を直前に控え、油井は日本の実験棟「きぼう」に別れを告げるように、機内消灯の映像を投稿。俵は油井の無事の期間を願い、最後の歌を宇宙に送った。
そして様々なミッションを無事に完了した油井は、日本時間の1月15日午後5時40分ごろ、無事帰還を果たす。現在はゆっくりと地球の環境に体を慣らしているようだ。
「それでも発信を続けているのは、今の時代ならではの現象が次々と起きて、言葉オタクとしては目が離せないからなんですよ。」俵は以前リアルサウンドのインタビューで、このように答えてくれた。地上と宇宙で、31文字を送りあう。テクノロジーが極限まで進んだ先で、いちばん遠くまで届いたのは、言葉だった。小さな光は確かに交わされ、油井は地球へ帰ってきた。