FANTASTICS 佐藤大樹、真っ裸で放つ“視線ビーム”に思わず黄色い声! 『仮面の忍者 赤影』リメイクで魅力爆発
夢のような掛け算が算出する新たなテレビ時代劇
歴史的な巨匠漫画家たちによる原作があり、精巧な演出設計で時代劇に挑む現代の名監督たちがいて、そこに21世紀のエンターテインメントに新風を吹き込み続けるLDH所属俳優たちが組み合わさる…。LDHのDはDream(夢)の略字だが、この夢のような掛け算が新たなテレビ時代劇を算出する。2024年春、テレビ朝日のスーパーバラバラ大作戦枠に編成された「シン・時代劇」は、時代劇の名門・東映とタッグを組んだ野心的な試みだった。
テレビ朝日と東映は旧知の制作コンビとして知られる。観客数11億人を記録し、日本映画の黄金期を極めた1950年代、東映は毎年150本ほどの時代劇(映画)を制作していた。ところが1960年代になると映画界全体として時代劇の制作本数が減退。そこで時代劇が活路を見いだしたのがテレビ業界だった。1965〜66年、東映(東映京都テレビプロダクション)とNET(現在のテレビ朝日)が制作したテレビ時代劇『新選組風雲録』がヒットする。渡哲也主演の1998年版には、東映時代劇の巨匠・工藤栄一や日活アクションを牽引した舛田利雄など日本映画界を代表する大監督たちが演出陣に名を連ね、作品クオリティを支えた。
原作は司馬遼太郎の同名歴史小説だが、「シン・時代劇」初作品『君とゆきて咲く~新選組青春録~』(メイン監督はラブコメ映画の名匠・河合勇人、奥智哉とW主演を組んだのはLDH注目の若手俳優・前田拳太郎)は手塚治虫の隠れた名作『新撰組』を新たな原作に選ぶことで、画期的なテレビ時代劇の歴史が脈々と息づく。東映は他にも関西テレビと組んだ『仮面の忍者 赤影』(1967〜1968、原作は横山光輝による同名漫画)をヒットさせ、2025年冬の(公式でははっきり銘打たれていないため、事実上)「シン・時代劇」リメイク版としてこの作品が選ばれた。総監督・監督は、工藤栄一による代表的時代劇『十三人の刺客』(1963)を2010年にリメイクした経験もある三池崇史。主演はLDH所属のダンス&ボーカルグループFANTASTICSの佐藤大樹。共演は同グループのパフォーマー木村慧人とEXILE TAKAHIRO。オープニング曲には同事務所所属のNEO EXILE世代PSYCHIC FEVERの「SWISH DAT」、エンディング曲にはWOLF HOWL HARMONYの「Marmalade」がそれぞれ起用され、作品の世界観にコミットしつつ現行J-R&Bのビート感が新たなテレビ時代劇としての奥行きを画面に生んでいる。
EXILE加入前から変わらない佐藤大樹の視線のビーム
『仮面の忍者 赤影』は、横山光輝が人気連載漫画『伊賀の影丸』後に関西テレビでの放映用として取りかかった苦労の一作であり、テレビドラマ化が前提となっているだけに主人公の忍者・赤影の初登場場面にインパクトある工夫を凝らしている。時代設定は戦国時代。天下人目前の織田信長に仕える木下藤吉郎が名軍師・竹中半兵衛と策をめぐらしている。「これでよぶのでござる」と言った半兵衛が徐に放った火矢を合図に、赤影のシルエットが一コマの片隅にシュッと登場する。リメイク版ドラマではこの火矢のギミックを発展させ、主演の佐藤大樹演じる赤影自体を赤く発光する火球のように見せ、滝に着地させる。
驚くべきは初登場した赤影が真っ裸であることだ。カメラは臀部のきわっきわで水に浸かる赤影を背後から捉えた後、生々しい水滴が滴る雄々しい上半身(思わず黄色い声!)を下から上へなめ回す。そしてキリッと精悍な表情を映す。こうして原作冒頭のアレンジは、本作の主演俳優である佐藤大樹のビジュアルを水も滴るいい男として規定し、わかりやすいサービスショットとして楽しませる。2018年にメジャーデビューしたFANTASTICSのリーダーであり、先駆けて2014年には19歳で憧れのEXILE新メンバーに選出された佐藤がパフォーマーとして磨きあげてきた筋骨たくましいフィジカルの魅力を、実写化の上での(キャッチーな)視覚的強みに使わない手はないだろう。
とはいえもちろんフィジカルな見た目ばかりが魅力ではない。注目すべきは真っ裸の赤影がどことも知れず真っ直ぐ投げかけていた視線の強さだ。現在第9話まで放送されている内、第1話から第4話の演出を担当している三池崇史監督は視線の演技を強調している。例えば、第1話初登場後、木村慧人演じる青影との出会いの場面。赤影が手のひらにのせて愛おしそうに見つめる対象物…。それはまさかの沢蟹(!)。万物を愛でる心優しい赤影のキャラクター性が垣間見える場面だが、卑小な対象物にもこれだけ愛情深い眼差しを向けられる佐藤の視線は持続力があって揺るぎない。
佐藤大樹の演技には、EXILE加入前以から変わらない視線のビームという最大の魅力がある。彼がまだEXILEに加入する前の2011年、FUNKY MONKEY BABYS「ラブレター」のミュージックビデオに出演していたことを思い出した。佐藤は上田晋也の少年時代を演じた。同作冒頭、校庭で腹筋に励む佐藤が上体を起こしたまま、ふと初恋の相手に真っ直ぐ愛おしい眼差しを向ける。沢蟹に向ける視線の作り方とほとんど同じではないか。キャリアの成長とともに視線の演技はより研ぎすまれ、それは次第に声の届け方にも工夫が行き届く。第9話で竹中半兵衛改め、白影(加藤諒)と会話する石段の場面で、夜の静けさの中に台詞の一字一句をクリアに発する口跡が美しい余韻を作る。同話から本作は第2シーズンへと突入したが、雄々しいフィジカル、変わらない視線の演技、そして美しい口跡によって佐藤大樹は忍者漫画の傑作を令和の新しい時代劇の代表作へと押し上げようとしている。