近藤史恵『凍える島』新装版発売へ 無人島で繰り広げられるミステリー作品

 近藤史恵のデビュー作『凍える島』の新装版が9月19日(金)に東京創元社より発売された。

 ドラマ化もされた〈ビストロ・パ・マル〉シリーズをはじめ、自転車ロードレースを題材とした〈サクリファイス〉シリーズなど、数々の人気作を生み出す近藤史恵。1993年に本書『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞しデビューした。サスペンス色の強いミステリからスポーツ小説、ビストロを舞台にしたシリーズまで、幅広い作風で人気を得ている。2022年には2011年に双葉社から刊行された『ホテル・ピーベリー』の新装版が刊行され話題に。今回の新装版では、装画を飯田研人、装幀を鈴木久美が手掛け、杉江松恋による新解説を収録している。

 今回の物語では、主人公・野坂あやめが、自身が店長をつとめる喫茶店の常連客やその友人など総勢八名で、瀬戸内海の無人島に建つ別荘を訪れる。少し前まで新興宗教の聖地だったといういわくつきの場所に到着して間もなく、同行者のひとりが密室状態で殺されているのが発見される。一体何があったのか、疑心暗鬼に陥る一行のなかからまたさらなる犠牲者が生まれる。霧に包まれた無人島、微妙な関係値の八人の旅行者たち、断絶される通信手段と交通手段。ミステリの魅力がぎゅっと詰まった衝撃作だ。

あらすじ

喫茶店〈北斎屋〉店長の野坂あやめは、得意客やその友人を含む男女八名で、瀬戸内海に浮かぶS島を訪れた数年前まで新興宗教の聖地だったという島で、良質な退屈を楽しむはずが、密室状況で無惨な刺殺体が発見されてしまう。それが悲劇の幕開けとなり、一人また一人と殺され疑心暗鬼に陥る一行。霧に包まれた孤島で何が起きているのか。著者の原点たる第4回鮎川哲也賞受賞作。解説=杉江松恋

■書誌情報
『凍える島』
著者:近藤史恵
価格:858円(税込)
発売日:2025年9月19日
出版社:東京創元社
レーベル:創元推理文庫(M)

関連記事