「ハウルの動く城」原作者の名作『九年目の魔法』新装デザインで登場 記憶が二重になっている少女のファンタジー

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズの名作『九年目の魔法』が、東京創元社から発売された。

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズは『ハウルの動く城』の原作者として日本でも広く知られており、現代イギリスを代表するファンタジイ作家として高く評価されている。今回刊行された『九年目の魔法』は、その作品群の中でもとりわけ評価が高く、長年にわたり世界中の読者を魅了し続けてきた不朽の一冊だ。

 物語の主人公は、19歳の少女ポーリィ。自分の記憶が二重になっているという不可思議な状況に気づいた彼女は、過去と現在が交錯する世界で失われた思い出を探し求め、大切な人を救うために運命と闘うことになる。ファンタジイでありながら、愛と成長をテーマに描かれた普遍的なストーリーは、若い世代だけでなく幅広い読者層に響く内容となっている。

 今回の刊行にあたり装丁が一新され、現代の読者にも手に取りやすいデザインに仕上がった。ジョーンズの独創的な物語世界を改めて味わえる機会となり、既存のファンはもちろん、これまで彼女の作品に触れてこなかった新しい読者層にとっても絶好の入門書といえる。

 東京創元社では、12月に時空を超えた傑作ファンタジイ『わたしが幽霊だった時』の新装版刊行を予定。ダイアナ・ウィン・ジョーンズの魅力を再発見する動きが続きそうだ。ファンタジイ文学の奥深さと彼女の筆致の力強さを改めて感じさせる刊行ラッシュとなるだろう。

■書誌情報
『九年目の魔法』
著者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
訳:浅羽莢子
価格:1,540円(税込)
発売日:2025年9月19日
出版社:東京創元社
レーベル:創元推理文庫

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