吉高由里子「たくさん悩みながら、読み返していました」書籍『しらふ』で語った家族と幼少期の体験

▪️家族と幼少期の体験を明かした理由

──本書には、吉高さんのご家族や幼少期の体験なども綴られています。ここまで書くものか、と驚きながら読んでいたのですが、それを綴っていくことに躊躇はありましたか?

吉高:ありました。だからこそ、読み返しているうちに削った部分もたくさんあります。

 読み返していくなかで「これは入れてもいいかな」と思えたこともあれば、「いや、これはやっぱり違うな…」と削った部分もあって。「家族を私の仕事に巻き込みたくない」という思いが強くあったので、どれだけ書くか、とても悩みました。

 私は、自分の人生は自分のものだと思う一方で、どこかで“誰かの人生でもある”ような気持ちで生きているところがあります。こういう仕事をしていると、私の知らない誰かが、私の“関係者”という立場になっていることもあって。長くこの仕事を続けていると、それに慣れているのか、受け入れているのか、あるいは麻痺しているのか…自分でもよく分からないけど、そういう仕事だし、そういう立場であることも理解しています。

 でも、この仕事をしていない家族からすれば「自分の知らない誰かが自分のことを知っている」ということは、とても驚くことだと思うんです。それがどれだけ怖いことなのか、私自身が過去に感じていたことだから、よく分かっていて。

 でも家族のことをこんなにも語れることは、もしかしたらもう二度とないかもしれないと思ったので、たくさん悩みながら、読み返していました。

──活動を続けられて、どう見られるかということは、どのように意識されていたのでしょうか?

吉高:観ている人が思う“吉高由里子”と、私が思っている“吉高由里子”とのギャップを埋めていくことは、けっこう前に諦めたんです。どう見られたいか、という気持ちも今はもうなくて。私はオンとオフをあまり切り替えられない人間だし、観ている人の数だけイメージがある。それに全部応えようとするのは無理だし、そもそも私は大勢の人に好かれたいわけでもないんです。

 22、23歳の頃は、「本当はそうじゃないのに」とか「これは自分じゃない」と思ってしまうこともあったし、週刊誌に好き勝手書かれたときは反論したくなることもありました。でも、一度反論したらずっとそのことがついて回る。

 それならもう、「こんなもんだよ」って、自分自身が自分を納得させたほうがいいなと思うようになって。 知らない方に応援していただくこともあれば、知らない方に嫌われることもある。それがこの仕事なんだと思っています。ただ、飾らない自分を知っていてくれる人にだけ本当の自分を知っていてもらえればいい、と思っています。

──特に15年前、吉高さんが注目され始めた頃は、俳優としては鮮烈な印象を与える一方で、バラエティ番組では“飾らない人柄”が「不思議ちゃん」と受け取られることもありましたよね。

吉高:確かに(笑)。思ったことをそのまま話すと「この人、ちょっとおかしいのかな?」って思われるんだなって、当時は徐々に気づいていきました。

 この前、小学生のときの友達4人と久しぶりに集まって話したんですけど、「ほんと変わってたよ」って言われて。自分では全然自覚がなかったんですけどね。子どもって、周りの目なんて気にしないじゃないですか。ありのままの自分でいるものだし。大人になるにつれて、少しずつ周りに合わせるようになって、ようやく今の私になったわけで。だから、当時はもっとすごかったんだと思います(笑)。

 色んな人がいる芸能界で「不思議ちゃん」と言われるのって相当なんだろうなと思っていたけど、芸能界で学校みたいに徐々に学んでいきました。

 でも芸能界って、あだ名をつけたがるところがあるじゃないですか。あれが、私にとって初めてもらった“あだ名”だから、それはそれで良いのかなって思ってます。

──そうやって色々と発言をセーブするようになったわけですが、この本ではタイトルの通り「しらふ」の感性で話されているんですよね。

吉高:そうですね。しらふで、素のままに呟いていると思います。タイトルは編集者の方から提案していただいたものですが、タイトルそのままの内容になっていて、本当にしらふですし…あ、挿絵のところはお酒が入ってますけど。ま、それも“コントラスト”ということで(笑)!

■書誌情報

吉高由里子 『 しらふ 』
価格:2,420円(税込)
発売日:2025年7月22日
出版社:ワニブックス

(衣裳クレジット)
ドレス¥41,800Velnica /ヴェルニカ(Velnica Room /ヴェルニカ ルーム)03-6323-9908
パンプス スタイリスト私物
ピアス ¥30,000LORO / ロロ(l'oro株式会社 / ロロカブシキガイシャ)03-6380-6859
ネックレス ¥26,950 DAUGHTERS JEWELRY / ⁡ドーターズジュエリー(DAUGHTERS JEWELRY PR)080-8701-0094
リング(左手)¥18,700e.m. / イー・エム(e.m. 青山店 / イー・エム アオヤマ)03-6712-6797
リング(右手)¥38,000ブランイリス(ブランイリス トーキョー)03-6434-0210

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