吉高由里子「たくさん悩みながら、読み返していました」書籍『しらふ』で語った家族と幼少期の体験

▪️大河ドラマ撮影中に書籍を制作「私はちゃんと他人にぶら下がるタイプなので(笑)」

──2023年に本書のオファーがあり、2024年に月に1回の頻度でひとりごと取材を重ねてこられたとのことですが、大河ドラマ主演という大きなプレッシャーを背負う中で、心境的に不安になるであることが予想される時期にインタビューを受けることに、不安はなかったのでしょうか?

吉高:それはなかったですね。私が「大河を引っ張っていかないと!」という想いが強くあるような人間だったら、そういうことも考えていたかもしれないけど、私はちゃんと他人にぶら下がるタイプなので(笑)。大河ドラマの撮影中も、甘えるところは甘えさせてもらっていました(笑)。

 それに、活動20周年という節目と大河ドラマの主演、それと“年女”という色んな節目が重なったこともあって「やろ~!」という勢いで受けて。お祭り状態だったんです(笑)。

──本書には、「目」「触」「雨」など、漢字一文字をお題に、吉高さんが思いついたイメージや考えが綴られていますね。

吉高:お題として出される漢字一文字は、その場で発表されるんです。事前に伝えられるわけではないので、前日に家で「こういう話をしよう」と準備することができなくて。本当にその瞬間に思いついたことを話しています。

──大河ドラマの撮影中に、本書の定期的な取材を受けている時は、どんな心境だったのでしょうか?

吉高:大河ドラマの撮影中はセリフを覚えるのにも時間がかかったのですが、この本に関しては「自分の言葉で話せるのってこんなに楽なのか」と思っていました(笑)。だから話している時間は、全然プレッシャーもなかったんです。ただ、後から内容を確認する作業が大変でした(笑)。

──あとがきにも「確認作業含め全部でわたしは3回読みました。1度目は読み終えるまでに5時間かかりました。2度目で恥ずかしすぎて出版を後悔しました。」と書かれていましたね。

吉高:確認作業をしている最中は、“なんでやるって言っちゃったんだろう?…やめようかな?”と思うくらい辛かったです(笑)。映画の取材だと1日で20媒体とか対応したりするんですけど、あんなに大量の文章を確認するマネージャーさんって、本当に大変だなって。改めて「ありがとうございます!」って思いました(笑)。

──自分の感性が綴られた原稿を読み返していくうちに、発見したことはありましたか?

吉高:一年前の自分と今の自分では、考えていることが全く違っていることに気づきました。自分が話していることなのに「あ、そういうふうに考えるんだ」と思うことがあって、文章を読んでいても1年前の私がまるで別人のように感じました。同じ感覚で歩いていたはずなのに、時間が経つと、自分なのに他人のように思えてしまうような…不思議な感覚でした。

 それまで私は人生でも自分で買った本って10冊もないくらい読書が苦手だったんです。でも読書が好きな人が何度も同じ本を読むのは、──もちろん物語が面白いという前提があった上で──読む時期によって感じ方が変わる、その変化や感覚を楽しんでいるのかなって思ったりして。読書の面白さが分かるような気がしました。

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