吉高由里子「たくさん悩みながら、読み返していました」書籍『しらふ』で語った家族と幼少期の体験

 2014年の連続テレビ小説『花子とアン』で村岡花子役で主演を務め、昨年の大河ドラマ『光る君へ』では主人公・紫式部役を演じるなど、名実ともに日本を代表する俳優になった吉高由里子。7月22日に発売された書籍『しらふ』(ワニブックス)は、大河ドラマ撮影の真っ只中だった2024年に、気心の知れた編集者との語りを通じて、その内面をじっくりと深掘りした一冊だ。

吉高由里子 『 しらふ 』【通常版】(ワニブックス)

 本書には、五十四の漢字一文字から浮かんだ彼女の思考や感情が綴られた文章に加え、ニュージーランドでの撮り下ろし写真、さらにはロックバンド・ONE OK ROCKのギター・Toruとの対談も収録。俳優という枠にとどまらず、ひとりの人間としての吉高由里子を多面的に感じ取ることができる内容となっている。

 今回のインタビューでは、バラエティ番組やCMで見せる天真爛漫で人懐っこい愛嬌はそのままに、書籍の制作エピソードに加えて、活動20周年という節目だからこそ振り返ることができたデビュー当時のことについても語ってくれた。

▪️「変わらない信念がある」という自信もなかったんです

──本書は、「吉高さんの感性が伝わる本を作りたい」とオファーされたことが始まりだったとのことですが、この提案を聞いたときの印象はいかがでしたか?

吉高:私、小学生の頃から作文が書けなかったんです。自分では作文として書いた文章が「これはあなたの”詩”になっちゃってるから」と言われたことがあって。過去には、ただの感想文のつもりで投稿していたTwitterの文章を「書籍化したい」と提案していただいたこともありました。そういうことがあると「受け入れたくないけど、人とは(文章の)書き方が違うのかな?」と思っていたんです。

 それに私は、自分の言葉を残したいとも思えなくて。そのときに思っている“本当”だって、生きていれば変わるかもしれないし、「変わらない信念がある」という自信もなかったんです。

──それでも本書のオファーを受け入れたのは、何か理由があったのでしょうか?

吉高:私のことをずっと見てくれている編集者の方からのご提案だったので、「じゃあ、やってみようかな」と思えたんです。

 それに、こういうことがないと、そのときの自分の感性って残すこともないかなって。本当にありのままが書かれていますし、どういう人が読むかなんて一切考えずに話していたから「買わないでくれ!」って言いたいくらい、恥ずかしい気持ちがあります(笑)。でもいつか…60、70歳になって、この本を残したことに感謝するようになっていたらいいかなって…いや、遅いかな(笑)。

ヘアメイク:RYO(TRON)スタイリスト:有本祐輔(7回の裏) 取材協力:ニュージーランド政府観光局、ニュージーランド航空

──撮り下ろしページでは、ニュージーランドでの旅を記録した写真も収録されています。

吉高:もともと星や宇宙、空に興味があって、旅先にニュージーランドを選んだのは、編集者の方から「世界遺産になるかもしれない星空がニュージーランドにある」と提案していただいて、すごく惹かれて行くことにしました。

 最終日は山の麓にあるホテルに泊まったのですが、朝5時ごろに出発したときに見た星空が本当に綺麗で。「え、ここもいいじゃん!」と思うくらい、感動的でした。撮影中はずっと移動が続いていて、プライベートの旅ではなかなかこんなに移動することもないので、風景がどんどん変わっていくのがすごく楽しかったです。

──また、ONE OK ROCKのToruさんとの対談も収録されていますが、どのような経緯でこの対談が実現したのでしょうか?

吉高:実はToruさんとは中学校が一緒で、知り合ってもう20年くらいになるんです。私が仕事を始める前からの友達ということもあって「こういう関係って面白いな」と思って対談をお願いしました。

 10代の私たちに「30代になっても、こうして友達でいられるんだよ。面白いことがたくさん起きるよ」って教えてあげたくなるような、そんな対談になったと思います。

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