『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』第8話、完全なる「エヴァ要素」と一瞬見えた「ララァの存在」何を意味する?

■第7話に続いて密度濃すぎる第8話

 「はは〜ん、今週は『Beginning』のソロモン戦〜ゼクノヴァ発生までを放送するのね。映画館行ったから、これは一週休みみたいなもんだな」と思っていたが、蓋を開ければ凄まじい密度だった『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』第8話。今週も驚きの内容だった。

  前半パートは予告にあった通り、『Beginning』でのルナツー攻略からソロモン戦で構成されていた。劇場で見て以来のソロモン戦パートだが、赤いガンダムとキケロガ、そしてソドンとキャメル艦隊が数で大いに勝る連邦軍艦隊の懐へ飛び込んでいく様子はストレートに盛り上がる。ここでは「先頭の機体の攻撃によって動きを止めた敵機を、後ろに続く僚機の攻撃で撃破する」というマヴ戦術の典型例が映像化されており、シャアとシャリアが完成させた戦術の真骨頂が伺える。セリフのノリはどちらかといえば富野由悠季というより庵野秀明の味が濃い(富野作品だったら「たった4隻の殴り込み艦隊か……」「ジオンの命運は赤い彗星に委ねられたな」みたいな直球で盛り上げるセリフは入らないと思う)が、これもソロモン戦パートのチャームポイントだろう。ノリノリで脚本が書かれたであろうことが想像できる。

  好きなタイミングで一時停止できる環境でソロモン戦の一連の流れを見て気がついたのが、一瞬だけララァらしき人物の姿が登場していることだ。白い軽キャノンが赤いガンダムと接触し、シャアが軽キャノンに乗っているのはアルテイシアだと感知するシーンで、稲妻のように白い光が走る中にほんの一瞬だけララァとおぼしき人物の姿が浮かび上がるのだ。その後のゼクノヴァでシャアは「この世界の存在ではない者」と対話しているようなやりとりをしているが、この「一瞬だけ映るララァ」の存在と関係があるのか気になるところだ。

  さらにいえば、ゼクノヴァがなんだかかなり妙なタイミングで発生していることも、今回改めて見て気がついた点である。大規模な異変が発生するのなら、赤いガンダムと軽キャノンとが戦っている最中とか、そういう劇的なタイミングでもよかったはずだ。が、実際には軽キャノンと遭遇して崩落が起こってから、一息つこうかというタイミングで急に発動している。この発動タイミングや先週のシュウジの様子を見る限り、ゼクノヴァはガンダムの搭乗者の精神的を大きく反映しているわけではないようで、パイロットが制御できるものでもないらしい。シャアがゼクノヴァの中で「誰か」と対話していた点も含め、詳細が気になるポイントである。

  そして第8話の後半では、前回エグザベに接触されキシリアと行動をともにすることになったニャアンのその後が描かれた。見た人はご存知だろうが、まあ開き直ったような『新世紀エヴァンゲリオン』のパロディてんこ盛りであった。今回初登場となったGQuuuuuuX2号機「GFreD」の頭部のカラーリングといい、胸の前に渡されたブリッジといい、「三人目のパイロット候補」というニャアンの立場といい、今まで動かせなかったGFreDを一発で動かしてみせたニャアンといい、誰がどう見ても『エヴァ』である。

  もっとも、現在公式サイトにて公開されているGFreDの姿を見る限り、実のところそこまでエヴァンゲリオンそのままというカラーリングでもない。首から下のデザインはGQuuuuuuXと同じで、目を引くのは紫色の部分よりも各部に配置された緑色の箇所だ。この部分は緑系だけで4色も使い分けられており、部位によっては『機動戦士ガンダム』のエルメスのような色が使われている点も気になる。しかし、頭部の配色はほとんど紫と蛍光グリーンのみ。つまり第8話では「一番エヴァンゲリオン初号機っぽい色に見える箇所」だけが画面に映り続けていたことになる。やはりこれは意図的なものだろう。

改めて読み返したくなる富野由悠季、美樹本晴彦 『機動戦士ガンダム〈1〉』(KADOKAWA)

  そもそも『GQuuuuuuX』は「もしもサイド7に向かったのがシャア本人だったら」という、『機動戦士ガンダム』のパロディのようなエピソードから出発している。先行する各種作品からの引用をコラージュのように散りばめた作品を多数作り出してきたカラーのスタッフがガンダムを作ったらこうなった……ということで、個人的にはこの「パロディ的な要素からスタートしたガンダム」という点は納得できるものだった。が、ここにきてとうとう直球の『エヴァンゲリオン』のパロディを投げてきたということで、「これは逆に、もっと遠くを目指している作品なのではないか」という期待が湧いてきている。

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