“雨の日の万博”はほとんど苦行? 事前準備を怠った筆者が後悔したこと
「せっかく大阪出張に来たのだから、ついでに話題の万博も取材して帰ろう。万博の『公式ガイドブック』を片手にマイナーな国のパビリオンなどを紹介すれば、リアルサウンド ブックならではの有意義な記事になるのでは?」と考えて、5月25日(日)の昼間に万博会場を訪れたのだが、完全に見立てが甘かった!
やまない雨、どこに行っても避けられない人混み、延々と続く行列、濡れたベンチには座ることもできず、重く肩に食い込むバックパックは容赦無く体力を奪っていく……図らずも苦行のような万博観覧となってしまったが、これから訪れる方のために、雨の日の万博での注意点などをレポートともにお届けしたい。
荷物は入場前にロッカーに預けるべし
Osaka Metro中央線で夢洲駅に着き、群衆に流されるように進んでいくと東ゲートが見えてくる。ゲート前はなかなかの混雑ぶりで、11時に入場の予定だったが30分以上は並びそうだ。まぁ中に入ってしまえば大丈夫だろう。会場に入ったら、一泊二日の荷物がパンパンに詰まったバックパックをロッカーに預けて、まずは国内パビリオンが立ち並ぶ東ゲートゾーンを散策してみようかな……なんて呑気に構えていたが、ここですでに大きな過ちを犯していた。会場内にロッカーはなく、ゲート付近もしくは駅のロッカーに預ける必要があったことを知ったのは、残念ながらすべてを諦めて帰ろうとしたときだった。万博はとにかく歩け歩けなので、大きな荷物は必ず入場前に預け、できるだけ身軽な状態にしておくのを忘れないでほしい。
群がる人々をかき分けて、なんとかミャクミャクの写真を納めた後は、長蛇の列が並ぶ国内パビリオンの数々をスルーして大屋根リングへ。人気のパビリオンはスマホでの予約が必須で、それでもかなり並ぶということが入場してすぐに理解できたのは、不幸中の幸いか。『パナソニックグループパビリオン「ノモの国」』や『電力館 可能性のタマゴたち』などはいかにも先端テクノロジー満載というイメージで興味があったが、外観を眺めることができただけでも良しとするしかあるまい。
大屋根リングで雨宿り
世界的建築家・藤本壮介氏による大屋根リングは圧巻だ。高さ、幅、円周、どれをとっても映像や写真では伝わらないダイナミズムがあって、よくぞ木造でこれほどの規模の建築物をつくりあげたものだと感銘を受ける。携わった職人の方々には頭が下がる思いだ。建築が好きな方はこれを体感するだけでも、万博に行く価値があるといえるだろう。本当にすごい!
大屋根リングの下は雨を凌げるので、避難民のように人々が集っており、地面にシートを敷いて休む外国人の方もいて、不思議なお祭り感があった。大屋根リング添いに移動すれば、あまり雨に当たらずに済むのは計算のうちだろう。雨の日は大屋根リングを十分に活用されたい。しかし、せっかく万博に来たとなれば登ってみたくなるのが人情。雨に濡れる覚悟で階段を登った。
大屋根リングの上に登り、会場を眺めてすぐに確信した。「これは一日や二日、取材したくらいじゃあロクな記事は書けやしない……手に負えない規模感だ」と。目に入るパビリオンはどれも工夫が凝らさており、一つ取材するだけでも十分な記事が書けそうだ。それでいて、どのパビリオンにも長蛇の列ができていて、とてもじゃないが雨の日に並ぶ気力は湧いてこない。
あとから知ったことだが、この日の来場者は約12万人で、博覧会協会によると10月までの会期中に2820万人の来場を想定しており、想定の人数に達するには1日平均で約15万人のペースが必要とのこと。マックスの来場者数の際はこの日よりも混むということなので、相応の覚悟が必要だ。どうしても見たいパビリオンをひとつかふたつに絞って予約をして、あとは会場内を散策したり、入りやすい小さなパビリオンを見ていくという余裕を持ったプランを立てるのが良さそうだ。地元の人によると、晴れた日の平日夜などがオススメだという。
そして雨の日の大屋根リング上を歩くのは、やはりなかなかに辛いものがある。一度登ったら次の階段までの距離が結構あるので、風雨に耐えて10分以上は歩かなければいけない。通路の水捌けはあまり良くなく、気づけば靴下までびしょ濡れになってしまった。雨が予測できる日なら、最初からフジロッカーのように長靴&ポンチョで参戦した方が良いかもしれない。