大友克洋『浦沢直樹の漫勉neo』で垣間見えた作家性と人間らしさ 代表作『童夢』の映画的な画作りを解剖
番組ラストで大友克洋最新作に期待が高まる
『童夢』は大友がメジャーに乗り出していくために描いたSF漫画だと浦沢は指摘しており、単行本が本屋の一般書のコーナーに平積みになっているのを見て「僕も及ばずながら追いかけます」という気持ちになったという。
若者の日常を乾いたタッチで描きニューウェーブというジャンルを切り開いた大友だったが「青春の挫折」みたいな話ばかり描いていたことに次第に飽きていき「漫画をちゃんと描こう」と思ったという。
大友にとって漫画とは、手塚治虫と石森章太郎でありSFだった。だから自分のタッチでSFを描こうと思い『Fire-Ball』という短編を描いたのだが、その時はうまくいかず、ちゃんとストーリーと構成を考えて描こうとしたのが『童夢』だったという。
最後に浦沢は、今は漫画を描いていない大友に「漫画、もう一回描かないんですか?」と尋ねている。大友は「どっかで漫画をちゃんと描かないといけないな」「それが僕を育ててくれた漫画に対する恩返しですよ」と答えている。
「僕、いつでも手伝いに行きますよ」「みんな待ってますよ」と浦沢が言い番組は終了したが、クールな漫画を描く大友克洋の中にある人としての暖かさが垣間見える番組だった。