軽キャノンはジム枠なのか?『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』ガンダムの“楽しさ”を濃縮した設定の妙
軽キャノンのコア・ブロック・システムやルナチタニウム合金に関する設定については、「筋のいいパロディ」という雰囲気がある。『GQuuuuuuX』の前半部分に関しては、そもそもが「もしも『機動戦士ガンダム』第1話でシャア自身がサイド7に突入していたら」というマニアのヨタ話を大きく膨らませたような内容だ。そして軽キャノンについては、そこから派生した設定遊びのような趣がある。「コア・ブロック・システムを使えばガンキャノンの胴体とガンダムの下半身をくっつけられるんだから、そこから簡単に量産機が作れるじゃん!」という無理のない流れは、まさにマニアックな視点からしか見つけることができないものだろう。これをスッと出してくるあたり、『GQuuuuuuX』スタッフ陣の並々ならぬパロディ筋の強さを感じる。
そもそも、作中の設定を掘り出しては重箱の隅を突いてあれこれ言うのは、ガンダムシリーズの大きな楽しみのひとつだ。その場しのぎの量産機にして連邦敗北の原因かもしれない軽キャノンは、そんな設定遊びの妙を感じられるモビルスーツと言っていい。しかもソロモン戦に出撃した特別塗装の機体には、セイラさんが乗ってたらしいじゃないですか……。こういうエピソードをつまみにガタガタ言うのはやはり楽しいわけで、してみると軽キャノンにはガンダムの楽しさの一側面が濃縮されて詰まっているように思う。
『Beginning』で大活躍したとは言い難い機体ながら、シャア専用ザクやキケロガよりもずっと早くプラモデル化が発表されたあたり、『GQuuuuuuX』本編での軽キャノンには想像していたよりも見せ場があるのかもしれない。考えてみれば、クランバトルではザクしか使ってはいけないというルールはない。連邦側の払い下げ機体が戦ってもいいだろうし、一年戦争停戦後の連邦軍のテリトリーではいまだに現役という可能性もある。なんせ相手は『GQuuuuuuX』なので、何をしてくるか読めないのだ。ひとまずはこれまでに発表されている設定をしゃぶり倒しつつ、本編放送を待ちたいところである。