山梨県は本当に“ホットスポット”なのかーー「甲府UFO事件」から50周年、富士山と超常現象の関わりを訊く
宇宙人と遭遇したら?
『ホットスポット』では、身近に宇宙人が潜んでいたことをきっかけに物語が展開していくが、実際に宇宙人と遭遇したら、どうすればいいのだろうか。
「甲府UFO事件の宇宙人は、小学生の肩をポンポンと叩いたと言われています。もし本当に遭遇する機会があっても、きっと観光を楽しみにきた宇宙人だと思うので、逃げるよりも友好的に接してみると良いかもしれませんね(笑)」
徳タケ氏は、宇宙人を単なる怪奇現象ではなく、地域活性化につなげることを目指している。
「甲府UFO事件を今再び取り上げているのも、宇宙人を怖い存在だと思うのではなく、あくまで『ここにいたのかな』と思いを馳せて、楽しんでほしいからです。そこからさらに、山梨の魅力を再発見することに繋がればと考えています」
「甲府UFO事件」を新たな観光資源に
現在、徳タケ氏を中心に結成された一般社団法人「UFOKOFU1975」では、甲府UFO事件から50年後にあたる2025年2月にあわせて、さまざまなイベントを企画している。
「これまでもUFO愛好家が、事件の跡地を訪れることはあったのですが、目印になるようなものが何もなかったんです。そこで、目撃現場に案内板や顔はめパネルを設置して、訪れた人が宇宙人に肩を叩かれているような写真を撮れるようにしました。さらに、甲府市内でUFO関連のトークショーを行う計画もあります。また、甲府UFO事件で目撃された宇宙人、通称“甲府星人”のファンアートを募集する企画も行っています。当時のことを知らない若い世代にも興味を持ってもらえたら嬉しいです」
町おこしのきっかけに「甲府UFO事件」を推す背景には、昨今の観光事情も関係していた。
「山梨県内の生活拠点は、甲府を中心としたエリアと、富士山エリアのざっくり2つに分けられます。富士山周辺では、つい最近も“映えスポット”として有名になったコンビニで、観光客の迷惑行為が問題になるなど、オーバーツーリズムの影響が出ています。一方で、甲府エリアにはまだまだ余裕があり、温泉やワイン、食べ物も豊富なので、うまく分散できればという思いがあったんです。甲府にも面白い場所はたくさんありますから、UFOという切り口で興味をもってもらい、そこから観光の活性化に繋がればと願っています」
50年の時を経て、新たな形で蘇った甲府UFO事件。この機会に関連書籍を読んだり、未知なる存在に思いを馳せながら、山梨の地を訪れてみるのもいいかもしれない。