孤島に集まった五人の少女が疑心暗鬼に陥って……ノン・ストップの孤島ミステリー『そして少女は孤島に消える』
その一方で、作中のどこもかしこも、伏線に見えてくる。この場面や、あのセリフは伏線ではないのかと疑ってしまう。ここでも作者に翻弄されてしまうのである。そして終盤の極限状況で始まる、ある人物による謎解きは、怒涛の伏線回収を伴い、意外な真相を明らかにする。えっ、そこが伏線だったのかと驚きながら、ミステリーの醍醐味を堪能した。
しかも本書の読みどころは、それだけではない。詳しくは書けないが、さらなる大技が使われているのだ。私は途中でその可能性に気づいてしまったが、だからといって失望することはなかった。この大技がストーリーと、しっかりと結びついているからだ。ひとつだけ残っていた謎も、ラストで答えが提示される。なるほど作者は、このような作品世界を創り上げたかったのかと、その狙いに納得し、満足しながら本を閉じたのである。