『美味しんぼ』山岡と栗田の結婚、海原雄山との仲裁……大事な局面で活躍した『美食倶楽部』の仲居といえば?

■中川の嫁である大きな役割を担う人物

  海原雄山が主催する料亭『美食倶楽部』。そこで仲居を務め、調理主任を務める中川の妻であり、主人公である山岡士郎の幼少期に乳母を務めた人物といえば誰かわかるだろうか。

  山岡が雄山と仲違いしたあとも気にかけており、山岡の大事な局面や岐路となる時に登場し、良い仕事ぶりを見せているのがおチヨである。今回はそんなファインプレーを連発するおチヨの名場面を検証したい。

■栗田との結婚に後ろ向きな山岡……どうやって結婚に導いた?

  究極対至高の対決テーマが「朝食」であることを聞きつけたおチヨは、「山岡の母が雄山に美味しい朝食を作っていたことを伝えたい」と、東西新聞社に単身で乗り込んでいく。

  ここで栗田ゆう子と荒川絹江、三谷典子から、山岡が団社長と近城カメラマンからプロポーズを受けたことを知りながら、結婚に後ろ向きで行動を起こさないことを明かされる。荒川が「山岡さんは栗田さんのことをなんとも思っていない」と冷たくあしらうと「そんなはずはない。士郎さまはゆう子ちゃんと結婚する!」と絶叫し、行動を開始。入り浸ったバーに乗り込み、山岡に「行動を起こさないのはどうしてですか?」と問いただした。

  さらに「自分の両親を見て結婚は絶対にしないと決めた」と話すも、山岡の「実は栗田のことが好き」という本心を見抜いたおチヨは、雄山のために妻が作った朝食を栗田経由で山岡に振る舞い「雄山と妻の関係が最悪なものではなかった」ことを説明した。また、栗田にも「士郎さまのことを見捨てないで」と頼み込んだ。

  おチヨが間接的に山岡の気持ちを伝えたことで、団社長や近城のアプローチに揺れていた栗田の気持ちが定まり、結婚へを向かっていくことになる。おチヨの活躍がなければ、山岡と栗田はゴールインできなかった可能性がある。

■「ホルスタインと結婚しろ」と叱りつける

  山岡の友人である上井という人物から「お前は背が高くて胸がデカくて、おしりが出っ張っていて、脚が長くて色っぽい人が好みだと言っていただろう。この人はぜんぜん違うね」と声をかけられ、へそを曲げてしまった栗田。同じく上井とつきあっている広野という栗田の友人も山岡をこき下ろし、結婚前に2人は険悪になってしまった。

  数日後、お茶会をするため中川とともに山岡の自宅を訪れたおチヨ。呼んでいたはずの栗田が来ていないことを知ると激怒し、「なんですか、一体。背が高くて胸が大きく、尻が出て肉感的な女がいいですと? そんなに胸がでかいのが良いならホルスタインと結婚しなさい」と一喝した。

  その後も山岡を責め続けていると、ひょっこりと栗田が登場。関係が破綻していなかったことに感動したおチヨはひと目も憚らず子供のように号泣する。様子を見た栗田と山岡はそれぞれ自己の行いを反省し、一件落着。さらにおチヨが持ってきたアプフェルシュトゥルーデルをヒントに、上井と広野をやり込めた。

■海原雄山と山岡の喧嘩を仲裁

  栗田が妊娠したことを喜ばず、「自分と雄山の関係を作ってしまうかもしれない」と思い悩み、栗田の親戚である沢野夫妻から叱責を受ける様子を見たおチヨ。雄山と母の関係悪化は「雄山が悪い」と山岡が発言すると、怒りの表情を浮かべた。

  翌日、山岡夫妻と沢野夫妻を呼び寄せたおチヨは、夫である中川の力を借りて、かつて雄山が子供だった山岡のために作った食事を振る舞う。山岡には雄山が「そこら辺の食器は程度が低すぎる」と自ら作った子供用の食器を使用。料理についても雄山が、玉子と牛肉が嫌いだった山岡のために考え抜いた献立であることを説明。雄山が山岡のために食器を作り、好き嫌いをなくす献立を考えるなど、「愛情を持って接していた」と説き伏せた。

  それでも「こんな食器と献立だけでは全ては語れない。母は雄山になぶり殺された」とうそぶく山岡だったが、沢野夫妻の説得もあり、改心する。「俺は生まれてきた子供と絶対に良い親子関係を作る」と前を向き、結果的におチヨが2人の仲を取り持つことに成功した。

  自らの行動に信念を持ち、相手が雄山や山岡であっても、はっきりと面と向かって物申すことができるおチヨ。雄山と山岡の仲直りに貢献した人物の1人である。

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