異能の世界で腕っ節一つで戦う男たちーーマッシュル、サイタマ、鏡浩二の魅力は隠れた努力?

 魔法や超能力、特異体質やスキルといった異能力といえば、我々に夢を与えてくれるファンタジー漫画作品が連想される。様々な装備を携え、新たな力を身につけていくキャラクターたちの中で、武器も持たず腕っ節で戦う3人の男たちの魅力と人気の理由を探っていきたい。

 まず、3作品のそれぞれの特徴を考えていきたい。2024年に大ヒットしたアニメの一つ『マッシュル-MASHLE-』の主人公・マッシュは、魔法が使えない人間が裁かれる世界で、魔法が使えないことを隠し生きてきた。育ての親である“じいちゃん”こと、レグロ・バーンデッドから、身を守る術として幼少期から筋トレを続け、魔法以上の力を筋肉一つで成し遂げてきたキャラクターだ。

 続いて『ワンパンマン』の主人公・サイタマは、”怪人”から人々を守るヒーローを志して毎日「腹筋・背筋・スクワット×100回、ランニング10km」を3年続けた結果、禿げてしまった頃には超人的なパワーを身につけた。サイボーグや超能力者、音速以上の速さで動く忍者など超常的な世界の中で、「マジ殴り」といった普通のパンチを必殺技としている。

 最後に『Lv999の村人』の主人公・鏡浩二(かがみこうじ)は、それぞれが職業を与えられる世界の中で、世界最弱の「村人」でありながら、世界で唯一レベル上限の999に到達した世界の異端児。レベルが高い分ステータスも高いが、戦闘職と比べると圧倒的に不利な状況ばかりが続く。数少ない戦闘系スキルを駆使しながら体一つで戦うキャラクターだ。

 彼らは、地形を変えるほどのエネルギー波や多種多様な魔法を使う人たちの中で、他を圧倒する身体能力だけを武器に、岩を砕き時には空を跳ぶ活躍を見せている。

 そんな彼らの魅力を探る中で、世界観が違いつつもある一つの共通点が見つかった。それは毎日コツコツと長年積み重ねてきたことをひけらかさず、日常レベルまでに浸透させていることだ。

 すでに彼らの戦闘シーンは人間離れしている描写ばかりだが、筋トレやランニングなどファンタジーではない堅実な修練方法は、読み手に継続の大変さをダイレクトに伝え、逆境を打ち砕くことで継続の先を体現している。

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