○○構文、ネットミームになぜ定着ーーSNSで大喜利状態になった政治家の影響も?

■石丸構文が話題

 7月7日に投開票を終えた東京都知事選は小池百合子が圧勝し、3選を決めた。しかし、ネット上の注目度でいえば、2位で落選した前広島県安芸高田市長の石丸伸二が、165万票を集めたように、他を圧倒したといえるのではないだろうか。

  特に、日テレ系のYouTube選挙特番では、社会学者の古市憲寿とやり取りがあったが、まったく話がかみ合っておらず、石丸の受け答えの姿勢は賛否両論となった。一方で、独特の言い回しが次第に“石丸構文”と呼ばれるようになり、ネットで大人気となっている。

「なんか堂々巡りになってる気がするんですけど、先ほど●●についてお話しましたよね

「同じ質問を今繰り返しされてます?さっき答えたばっかりですけど」

「え?もう1回言えってことですか?」

「え?●●さっき言ったばっかりですよ」

……これらのセリフがテンプレート化され、大喜利状態になっている。

■進次郎構文はネット大喜利のネタとして定着

 政治家の発言やセリフは、良くも悪くも時代を反映してきた。吉田茂の「バカヤロー」や、土井たか子の「山が動いた」などは流行語にもなっている。そして、ネットが普及すると政治家の個性的な言い回しがネット民に受け、“●●構文”として浸透することになった。

  その筆頭格が、小泉進次郎の“進次郎構文”であろう。おそらく、現在もっともネット上で普及している構文である。あまりに多くのネット民が進次郎構文でネタを作成しているため、実際に進次郎が話したのか、誰かの創作なのか、もはや判別不能になっているものが多い。

  最大の特徴は「AだからAである」という言い回しをすることで、これに則って文章を作ると、「食事中は、何かを食べていることが多いですね」「今のままではいけないと思います。だからこそ日本は今のままではいけないと思っている」など、奇妙極まりない言い回しの文章ができるのである。

■構文はどうして人気になる?

  こうした構文は、ネットの広まりとともに親しまれるようになってきた。絵文字を使いまくる定番の“おじさん構文”などのほか、最近では『葬送のフリーレン』のアニメ放送後に流行した“フリーレン構文”、ホロライブ所属の女性VTuber、兎田ぺこらに由来する“ぺこーら構文”などがネットで普及している。

  さて、「構文」の意味を辞書で引くと、「文の構造。文章の組み立て」とある(『デジタル大辞泉』小学館/刊より)。人気の背景には、なんだかんだで日本人は言葉遊びを考えるのが好きであるためだろう。そして、短文を投稿できるXなどのSNSが、大喜利をする環境として最適だったためではないか。

  しかし、進次郎構文で作られたテキストはクスッと笑えるものが多いのだが、石丸構文は友人や知人に使うと争いのもとになりそうな気がする。どこか、ひろゆきの「あなたの感想ですよね?」に近い響きがあるように思うのは記者だけだろうか。とにかく迂闊に使うとトラブルになりそうなので、くれぐれも用心してほしい。

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