高橋留美子 税込6800円の高額原画集が1万部突破 人気の理由は紙の書籍ならではの保存性

 漫画界の巨匠・高橋留美子の原画集が驚異的な売れ行きだ。3月29日に発売されたばかりの『高橋留美子原画集 COLORS 1978−2024』(小学館/刊)が、わずか1週間ほどで1万部を突破したと、高橋留美子の公式Xが明らかにした。そして、なんと1万部突破を記念して、高橋留美子のサイン色紙が5名に当たる超豪華なキャンペーンの実施も決まった。

 高橋留美子は1978年のデビュー以来、『うる星やつら』を筆頭に少年漫画はもちろん、『めぞん一刻』など青年漫画でもヒット作を連発。以来、45年以上にもわたって漫画界のトップランナーとしてあり続けている。

 今回の原画集には『うる星やつら』や『めぞん一刻』、『らんま1/2』、『犬夜叉』などの代表作から、現在「週刊少年サンデー」で連載中の『MAO』まで、カラー扉絵や名シーンを厳選して収録している。通常はコミックスなどでは消えてしまう、写植やホワイトの修正跡など、高橋留美子の試行錯誤の跡までじっくり楽しめるこだわりの仕様が特徴だ。

  そして、ファンにはたまらないのが高橋留美子のロングインタビュー。「高橋留美子を高橋留美子にするものは何なのか?」などのテーマで、約6時間におよぶインタビューを敢行している。まさに永久保存版と言っていい完成度だろう。

  この本は400ページというボリュームなので当然かもしれないが、税込6800円とかなり高価な書籍である。しかし、購入したファンからは、その作りの良さを賞賛する声が相次ぎ、満足度は非常に高いようだ。実は、この原画集は当初は2023年12月13日の発売予定だったものの、一度発売日が延期になっている。その間ファンは首を長くして待ちわびていたわけだが、そんなファンの期待に応える内容となっているようである。

  近年、書籍のグッズ化が進行している。それは、値段が多少高価であっても、内容から、紙質までファンを満足させるこだわった作りの本のことである。『高橋留美子原画集 COLORS 1978−2024』もまさにそんな一冊で、電子書籍では味わえない紙の本ならではの魅力が凝縮された一冊になっているし、本棚に並べて末永く保存しておきたい部類の書籍であろう。6800円の本が1万部以上売れたニュースは、出版界にとっても大きな希望と言っていい。

  編集担当者も、「カラーの原画だけでも圧倒的な凄みを感じる作品群ですが、それぞれの時代の高橋先生の生み出した作品と言葉や思考を合わせて見ることで、漫画を描いている人にはもちろん、ものづくりをしている人にもヒントとなるかもしれません。日本の漫画史に残る原画集だと思います」と自負しているように、ファンのみならず手にしたい一冊である。

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