少年ジャンプ『魔々勇々』なぜ連載終了に? 芥見下々「転換点になり得る傑作」の高評価も……

  林快彦によるバトルファンタジーマンガ『魔々勇々』が、4月8日発売の『週刊少年ジャンプ』19号(集英社)に掲載された第29話をもって完結を迎えた。魅力あふれる展開によってファンの心を鷲づかみにしてきた作品だったため、完結を惜しむ声が相次いで上がっている。

  同作は、勇者と魔王が共存しているファンタジー世界が舞台。平和な時代に生まれて自分のアイデンティティを失いかけていた勇者・コルレオのもとに、別の世界からやってきたという勇者や魔王が次々と現れ、戦乱に巻き込まれていく。

  ユニークな設定に「紋章術」を使った能力バトル、『チェンソーマン』作者・藤本タツキの影響を感じさせるスタイリッシュなコマ割りなど、同作にはさまざまな面白さが詰まっているが、とくにキャラクターの魅力に関しては唯一無二と言えるものがあった。最初に仲間になったエリシアは人懐っこい大型犬のような勇者で、その後も自称“大アイドル魔王”のミネルヴァや変人勇者のサディコなど、インパクトの強いヒロインが次々と登場していった。

  設定や言動の奇抜さだけでなく、それぞれ胸に宿した“信念”を表現するためのエピソードがしっかり用意されており、主人公・コルレオとの関係性を築いていくところも丁寧に描写されている。

  熱狂的な読者も数多く生まれており、2月に発売されたコミックスの1巻は発売後に即重版がかかった上、4月にはふたたび重版。また、『呪術廻戦』の芥見下々からは1巻発売時の推薦コメントで「センスがあるってこういうこと!! 私は林先生をジャンプの転換点だと思っています!!」と激賞されていた。

  だからこそ、約7カ月という連載期間で物語が終了することを受け入れがたいというファンも多いようで、SNS上ではさまざまな意見が交わされている様子だ。

  実のところ短期間で連載が終了したことは、必ずしも作品の良し悪しとは関係していないように思われる。『週刊少年ジャンプ』には少々特殊な環境があり、いわゆる読者アンケートシステムとの相性が大きく影響しているからだ。

  今年に入ってからも、『暗号学園のいろは』や『アスミカケル』などの連載作品が熱狂的な人気を博しつつ、アンケートシステムと馴染めずに終了を迎えている。

関連記事