【ライトノベル最新動向】リコリコ、わた婚、お隣の天使様、ビブリア古書堂……3月は人気作の新刊続々

 3月のライトノベルは、銃を手に戦う少女たちを描いて爆発的な人気を呼んだTVアニメ『リコリス・リコイル』にストーリー原案として携わったアサウラが手がけた新ノベルシリーズ『リコリス・リコイル Recovery days』(電撃文庫)が3月8日に登場。喫茶店「リコリコ」で働きながらエージェントとして活動している錦木千束と井ノ上たきなのTVには描かれなかった日常が綴られる。TVが終わって1年半、常に新しい動きが無いかを見守っている「リコリコ」ファンの渇望を満たす活躍を読めそうだ。

 実写映画化とアニメ化で人気が一気に広がった顎木あくみのシリーズ最新作『わたしの幸せな結婚 八』(富士見L文庫)も3月15日にいよいよ刊行。表紙絵も公開となって、久堂清霞との結婚を成し遂げた美世が、珍しく洋装で登場して清霞と見つめ合う幸せそうな姿に触れられる。ストーリーでも清霞と美世との新婚生活を堪能できるかに関心が向かう。

 困難を乗り越えて結ばれた2人だけあって、新婚生活も楽しいものであって欲しいが、帝都を脅かす存在と戦うのが清霞の仕事。一方で、美世の他に類のない異能の力を狙う動きも予想される。そうした新展開への萌芽が見られるか。気になる最新刊だ。完全新作アニメが同梱された『わたしの幸せな結婚 八 アニメBlu-ray付き同梱版』(富士見L文庫)も同時発売。制作が決まっている第2期が待ち遠しい人に嬉しいスペシャル版だ。

 人気シリーズでは、『ソードアート·オンライン』と並ぶ川原礫の代表シリーズの最新刊『アクセル・ワールド27 -第四の加速-』(電撃文庫)が3月8日に発売。《ブレイン・バースト》と呼ばれる没入型のゲームを舞台にバトルする少年少女を主人公にしたシリーズで、最新作では別のゲーム世界となる《ドレッド・ドライブ2048》から来る戦士たちによる侵略を阻止する戦いが描かれそう。

 『このライトノベルがすごい!2024』(宝島社刊)で前代未聞の5冠を達成した佐伯さんの人気シリーズ最新作『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件9』(GA文庫)は3月19日発売。お隣の天使様こと椎名真昼の誕生日を祝おうと、隣に暮らしていて真昼から世話を焼かれながら関係を深めていった藤宮周が全力を傾ける。どんなサプライズを計画しているか? TVアニメの第2期も動いており新刊で勢いに拍車をかける。

 長月達平による人気シリーズ最新作『Re:ゼロから始める異世界生活37』(MF文庫J)も3月25日に登場予定。神聖ヴォラキア帝国で合流を果たしたエミリア陣営が大災に挑むストーリーが繰り広げられる。二語十『探偵はもう、死んでいる。11』(MF文庫J)も3月25日発売。イラストを手がけるうみぼうずによる『探偵はもう、死んでいる。 うみぼうずアートワークス』も同じ日に刊行予定で、5年目に入ったシリーズをさらに盛り上げる。


 MF文庫Jからは、死んでも蘇る特殊体質を生かして事件の真相を暴く探偵が主人公となった、てにをは『また殺されてしまったのですね、探偵様5』と、共に探偵を養成する学園に通う〈探偵王〉の養女と〈犯罪王の孫〉が難事件に挑む紙城境介『シャーロック+アカデミー Logic.3 カラスが虹に染まる時』というライトノベルミステリの注目作もそろって登場。読者として推理しがいのあるストーリーが繰り広げられそうだ。


 ライトミステリ人気を決定づけたシリーズの最新刊となる三上延『ビブリア古書堂の事件手帖IV ~扉子たちと継がれる道~』(メディアワークス文庫)は3月23日発売。川端康成をはじめとした鎌倉の文士たちが立ち上げた「鎌倉文庫」から行方不明となった蔵書を探すという案件に、栞子と彼女の母や娘がそれぞれの立場で関わっていく3代にわたるストーリーが紡がれる。本好き遺伝子の濃さに触れられそうな作品だ。

 新作では紺野千昭『神様のいるこの世界で、獣はヒトの夢を見る』(講談社ラノベ文庫)が3月1日に発売。犯罪者が神によって異形に変えられてしまう世界で、治安維持組織に所属しているヨシュアが拾い同居することになった少女カナンの成長と反抗を通して、人間が神の真実に挑み立ち上がるストーリーが綴られる。重厚な物語を楽しめそうだ。

 『エスケヱプ・スピヰド』の九岡望による新シリーズ『プラントピア』(電撃文庫)は3月8日発売。草木に覆われ植物が生態系の重要な位置を占めるようになった遠い未来では、人の姿を持ちながら花の性質も持った「花人」が独自のコミュニティを築いていた。そこに目覚めた唯一の人間の少女と、「花人」たちと関係を描いて、変化してしまった世界に生きる者たちの姿や考え方を見せる。同じく3月8日発売で、馬車に似た宇宙船で旅をする二人が様々な星を訪ねる東崎雅子『少女星間漂流記』(電撃文庫)ともども、SFテイストを持った作品となっていそうだ。


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