『ろくでなしBLUES』森田まさのり、アシスタントに謝罪? “断ち切り”でカットされたコマの原画を公開

 漫画家の森田まさのり氏が、自身のXで「アシくんすまん。」と題したシリーズを連続投稿している。「アシくん=アシスタント」に対して、いったい何を申し訳なく思っているのか。

 SNSで積極的な発信を続けている森田氏は、以前から『ろくでなしBLUES』や『ROOKIES』『べしゃり暮らし』など自身のヒット作について、作画やセリフのミスを中心にセルフツッコミを行う「なかったことにしたい」シリーズを展開。自虐ネタでファンを大いに楽しませてきた。

 今回の「アシくんすまん。」シリーズはそこから派生したもので、きっかけは2月12日投稿された「なかったことにしたい。その45」。『ROOKIES』の1コマで、「スタンドの何気ないカットを描いたつもりが、構図を間違って、妙にひとりの名もなき女生徒が目立つ格好に」なってしまったというエピソードだ。ページ内に余白を作らない、いわゆる「断(裁)ち切り/断(裁)ち落とし」になったコマで、想定より大きくカットされたことから、名もなき女生徒にフォーカスしている印象になってしまったようだ。ポストに添えられた原画を見ると、確かに背景のスタンドが大きく広がっており、女生徒は目立ちすぎていない。

 これに関連して、森田氏は「アシスタントくんがせっかく頑張って原稿用紙の端っこまで描いてくれたのに、印刷で断ち切られて陽の目を見ることのなかった素晴らしい背景をいつか見てもらいたい」と宣言。そうして生まれたのが「アシくんすまん。」シリーズだった。

 投稿された掲載ページと原画を見比べてみると、『ろくでなしBLUES』で描かれた後楽園ホールのリングと観客たちのコマがかなりズームインされていたり、『べしゃり暮らし』のお祝いの食卓から一皿消えてしまっていたり、『ROOKIES』に至ってはしっかり描かれていた主要キャラクター・安仁屋の顔がカットされていたりと、確かにアシスタントの報われなかった仕事が忍ばれる。森田氏は「観客の顔までちゃんと描いてんのになぁ…。」と申し訳なさそうだ。

 しかし、この投稿に触れた漫画ファンは、今後余白のない断ち切りのページを読むとき、コマの外に広がる世界に思いを馳せることができるだろう。そんな想像力を与えてくれる「アシくんすまん。」シリーズには、“原画の供養”以上の価値がありそうだ。

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