【漫画】初デートのためなら国境も破壊!? 常識はずれの少女が可愛い、カオスすぎるSNS漫画
ストーリーは『HADES』というゲームの影響
――『初デートのために国境を破壊しようとする女の子の話』を制作した時の状況は?
野尻:当時描いていた読み切り漫画の平均が50ページぐらいだったので、「ちょっと短めの30ページぐらいで描いてみたいな」と思って描いた作品です。背景にいろいろ悩みながら、3DCGを実験的に使ってみたりなど、「やったことのない取り組みを何個かやってみよう」という感じで制作しました。
――初デートするだけなのに国家を揺るがす大きな事態に発展する、というハチャメチャな内容でした。
野尻:制作しようと思った時、『HADES』というゲームにハマっていました。『HADES』は、冥界の神・ハデスの息子で不死身の王子・ザグレウスが主人公なのですが、ザグレウスがハデスが統べる冥界から脱出する、つまりは家出するゲームになっています。その影響を多大に受けた結果、「親子喧嘩をモチーフにした話をやりたい」と思ってストーリーを決めました。加えて、「国境破壊という出来事を絡めたら面白いかな」と考えてストーリーを膨らませていきました。世界観は国境に壁がありそうな、ほんのりディストピアっぽい感じをイメージしています。
――明確なイメージを持って世界観を作ったのですね。
野尻:そうですね。ただ、その一方でキャラは「何となくこんな感じかな?」というあやふやなイメージで作っていきました。そこは反省です。
――ゾイや大統領のぶつかり合いは熱量があり、激しいシーンでした。
野尻:登場人物が破壊行為をしつつも嫌われないように、読者の感情に寄り添いながら気をつけて描きました。本作のように激しい表現を投入することは容易ですが、読者に不快感を与えすぎないように調整することはとても難しいです。いつも頭を悩ませています。
――激しいシーンだけではなく、登場人物の優しさが溢れる内容でした。“優しさ”を表現するうえで気をつけていることは?
野尻:先述した“激しさ”と大体同じです。激しく心を突き刺す物言いをさせつつも、読者がスーッと受け入れられる物言いにする。これらは矛盾していますが、この正反対の2つの意識を両立させるようなセリフをいつも目指しています。ただ、「それがこの作品で完全にできているのか?」と聞かれると「どうなんだろう」という感じです……。
――最後に今後の目標を教えてください。
野尻:今後はとりあえず漫画を専業するために頑張っていきます。連載なりなんなりいただければ、ずっと家にいられるので。自分は家にいるのが本当に好きなんですよね。家にいられれば、定期的にみなさんに作品を届けることにも繋がるので、いいこと尽くしです。それが今現在の目標であり野望です。